住宅ローンを借りて家を購入した人の中には、「住宅ローン控除で税金が戻ってくる年末が楽しみ」という人もいるのではないでしょうか。しかし、住宅ローン控除は一定の条件を満たさないと受けられません。ここでは、住宅ローン控除をもれなく受けるための条件や、申告の方法などについてお伝えします。

住宅ローン控除の概要

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、年末の住宅ローン残高の1%が払った所得税から戻ってくる制度です。住宅ローン残高の1%より支払っている所得税が少なく、控除(差し引き)しきれなかった分は次の年の住民税から13万6,500円を上限に控除されます。

期間は10年間ですが、消費税増税に伴う景気対策で2020年中(新型コロナウィルス対応で2022年中に延長される予定)に入居した人については13年間控除を受けることができます。

最大控除額は一般の住宅で年間40万円、認定長期優良住宅や認定低炭素住宅は年間50万円で、10年間では400万円または500万円となります。11年目から13年目は年末のローン残高の1%か建物価格の2%を3年で割った金額の少ない額が控除されます。

【図表1】
出所:筆者作成

住宅ローン控除は生命保険料控除等の所得控除とは異なり、住宅ローン残高の1%をそのまま税金から差し引ける税額控除です。例えば、所得税率10%の人が年末調整で生命保険料5万円に対する所得控除を受けると、税金の還付は5,000円です。しかし、住宅ローン控除では、年末の住宅ローン残高が3,000万円であれば、1%の30万円がそのまま還付されるという節税効果が大きい仕組みとなっています。

戻る金額が大きいだけに、もれなく使いたい制度ですが、一定の条件を満たさないと控除を受けられません。

住宅ローン控除を受けるための条件(新築住宅、中古住宅についてそれぞれわかりやすく解説)

住宅ローン控除を受けるための条件は、以下の通りです。

新築住宅の場合

(1)控除を受ける人が住宅の引き渡し日から6ヶ月以内に居住すること
(2)ローン控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること
(3)対象となる住宅の登記簿上の床面積が50㎡以上で、2分の1以上が自分の居住用であること
(4)対象となる住宅ローンの返済期間が10年以上あること
(5)居住した年とその年の前2年後3年の計6年間(2020年3月31日以前に譲渡した場合は前後2年の計5年間)に居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の特例等を受けていないこと。
(6)借入先は、銀行、農協・信用金庫・信用組合、住宅金融支援機構、自治体、共済組合、勤務先等

住宅ローンを借りた人が引渡しから6ヶ月以内に住むことが条件ですが、国内外を問わず転勤等による単身赴任で家族が住んでいる場合は、一定の要件を満たせば控除を受けることができます。

返済期間10年以上のローンが対象です。期間を短縮する繰り上げ返済をして、残期間が10年未満になってしまうと、減税の期間が残っていても控除を受けることができません。

また、自宅を売却して住み替える場合、一定期間内は3,000万円までの売却益について非課税となる3,000万円控除や、長期譲渡所得の特例等と併用できません。そのため、売却益が出る場合は、自分にとってどの制度を利用すると税金が一番少なくなるかを計算して選ばなくてはなりません。

借入先も知人や親族などからの借り入れは対象になりません。勤務先からの借り入れは、その時の市場金利から定められた金利(2020年時点では0.2%)以上で借り入れた場合のみ対象となります。

また、中古住宅の場合は新築住宅の条件に加え、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。

中古住宅の場合

(1)住宅性能評価書で耐震等級1以上が証明できること
(2)耐震基準適合証明書を取得していること
(3)既存住宅瑕疵保険に加入していること
(4)木造住宅であれば築20年以下、耐火建築物であれば築25年以下の建物であること

築年数の条件を満たさない場合は、1981年6月1日以降の建築基準法の耐震基準を満たすことを証明するか、リフォーム等により耐震基準を満たすことが条件となります。

また、100万円を超えるリフォームや増築にも住宅ローン減税が使える場合があります。対象となる工事等適用条件が複雑ですので、利用できるかどうかは工事内容が決まったら税理士等の専門家に早めに相談しましょう。

住宅ローン控除の計算方法

ここからは、具体的な控除額の計算方法を確認していきましょう。

図表2は、住宅ローン4,000万円、35年返済、年利1%、建物価格2,400万円と仮定した場合の控除額の概算です。10年間で最大約345万円、13年間では約393万円の税金が戻ってくる計算になります。

【図表2】
出所:筆者作成

しかし、所得税を40万円近くも支払っているのは一部の高収入の人だけです。もし支払っている所得税が20万円なら、引ききれなかった20万円については次の年の住民税から最高13万6,500円まで差し引かれ、所得税との合計で33万6,500円が控除額となります。

また、11年目から13年目については、ローン残高の1%か建物購入価格の2%を3年間で割った金額のどちらか少ないほうの金額が戻ってきます。例えば、建物価格2,400万円なら
2,400万円×2%÷3年=16万円となります。11年目の住宅ローン残高が1,600万円以上であれば11年目のローン控除は16万円です。

住宅ローン控除は住宅ローンを借りて新居に入居した年によって、戻ってくる税率や最大控除額、控除が受けられる年数が異なります。自分の場合、全期間でいくらの税金が戻ってくるのかは、国土交通省の住まい給付金のサイトで試算できます。

住宅ローンを夫婦で借りる場合は、それぞれの住宅ローンの残高に応じてローン控除を受けられます。住宅購入の予算を立てるときに控除額の総額を確認しておきましょう。

ローン控除を受けるには、確定申告や年末調整が必要

住宅ローン控除を受けるには、初年度は確定申告で、2年目からは会社員の方であれば年末調整で書類を提出しなくてはなりません。

初年度の確定申告に必要な書類は以下の通りです。毎年原則2月16日から3月15日の確定申告の期間に税金の還付を受けるための申告を行います。

初年度の確定申告に必要な書類

(1)確定申告書A(第一表と第二表)
(2)(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
(3)住宅ローン借入残高証明書
(4)源泉徴収票
(5)土地建物の登記簿謄本
(6)建築請負契約書または売買契約書のコピー
(7)マイナンバーカード等本人確認書類

(1)と(2)は税務署、(3)は金融機関、(4)は勤務先、(5)は法務局、(6)は不動産会社から入手できます。インターネット上でダウンロードできる書類もありますので、まずは調べてみましょう。

2年目からは、会社員であれば年末調整で上記(2)と(3)の書類を勤務先に提出します。夫婦でローンを組んでいる場合は、それぞれの申告が必要になりますので、忘れないように手続きしましょう。

2021年以降の住宅ローン控除

消費税増税に伴って対象期間が13年間に延びた住宅ローン控除ですが、新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、13年間控除を受けられる入居期限が2022年末まで延長される見通しとなりました。対象面積も戸建て、マンションとも50㎡以上から40㎡以上に緩和され、50㎡未満の対象者については1,000万円の所得制限が付く見通しです。

2023年以降も入居する年によって所得の基準や住宅ローン残高1%という還付率、控除期間など条件が変更される可能性があります。勝手に住宅ローン残高の1%が13年間戻ってくると思い込まず、自分が住宅を購入する時の税制をしっかり確認するようにしましょう。