米ドルの「売られ過ぎ」懸念

8日、注目された米12月雇用統計で、NFP(非農業部門雇用者数)は予想より悪い結果となったが、米ドル/円は104円へ反発した。これには、米ドルの「売られ過ぎ」懸念が強くなっていたことから、米金利上昇などで米ドルの買い戻しが入りやすかった影響もあっただろう。

CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の米ドル・ポジション(非米ドル主要5通貨=日本円、ユーロ、英ポンド、スイスフラン、加ドルのポジションから試算)は足元で売り越しが20万枚程度に拡大していた(図表1参照)。経験的には、これは米ドルの「売られ過ぎ」懸念が強くなっていることを示している。

【図表1】CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジション (2010年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

ちなみに円のポジションで、とくに非報告部門の数字は、過去最高規模の買い越し(米ドル売り越し)となっている(図表2参照)。このように見ると、全体的に米ドル買い戻しとなった場合、米ドル/円もそれに連れる可能性はありそうだ。

【図表2】CFTC統計の非報告部門の円・ポジション (2011年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

ところで米ドル/円は、過去半年以上、90日MA(移動平均線)を上限、それを2%下回った水準を下限としたレンジ内での上下動が続いてきた(図表3参照)。そんな90日MA(移動平均線)は足元で104.6円程度なので、これを上回る動きが続くかが、当面の米ドル反発シナリオを考える上では焦点になりそうだ。

【図表3】米ドル/円の90日MAからのかい離率 (2020年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成