通常、配当基準日は決算期末日
配当を受け取るためには、株主の権利を取得する必要があります。大半の国内上場会社は決算期末日に合わせて株主の配当の権利が確定する基準日(配当基準日)を設定しています。事業年度が4月1日から翌年3月31日の会社の場合、配当基準日は通常、3月31日です。
期末配当の権利を得るには、権利確定日である基準日に株主になっていなければなりません。買い付けから決済までに一定の時間がかかり、現在、基準日の2営業日前までに買い付ける必要があります。この2営業日前のことを『権利付き最終売買日』と呼びます。
2020年3月は28日と29日が休業日で、27日が権利付き最終売買日でした。権利付き最終売買日の翌営業日を『権利落ち日』と言います。理論上はこの日、株価は配当分下がって調整されます。
配当基準日を設定し直した事例
投資家は通常、決算期末日の前に株を買い付けないと配当の権利を得られませんが、中には例外もあります。今年は新型コロナウイルスの感染拡大で定時株主総会の延期とあわせて配当基準日を変えた会社がいくつかありました。
例えば、ユニプレス(5949)は2020年3月期末配当の基準日を6月11日に設定し直し、6月8日に20年3月期の決算短信を開示しました。(図表1、
決算短信とは、企業の決算の内容をまとめたものです。正式な決算内容発表ではありませんが、投資家がなるべく早く決算の内容を知ることができるように証券取引所の要請にこたえて各上場企業が作成しています。IRの一環として、多くの企業が自社のホームページで決算短信を掲載しています。配当の権利付き最終売買日は6月9日だったので、投資家はその前に決算短信を確認できたはずです。
コロナ禍と関係なく、決算期末日と配当基準日をずらしていた会社もあります。例えば、ジョイフル(9942)は6月期決算ですが、期末配当の基準日は8月31日、中間配当の基準日は2月末です。
ジョイフルの2020年6月期の決算発表はコロナ禍の影響で9月25日になってしまいましたが、通常なら前期、中間の決算発表後に前期末、中間それぞれの配当基準日が到来します。ただ、現状では同社のように決算短信を確認してから買い付けて配当の権利を得られる銘柄はまれなのです。