米ドル/円  日足

週間予想レンジ:103.00~105.00

メインストラテジー:レンジ取引

・コップの中の嵐が続く
・米ドル安の継続が焦点
・ブレイクのタイミング

 

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週、米ドル/円相場は再度陰線で大引けしたものの、値幅が更に縮小し、トレンドレスの状況を一段と深めた。もっとも、トレンドレスの状況は、11月半ばから継続しており、11月第2週の高値、安値から引かれてきたトライアングル型保ちあいの一環として位置付けるなら、むしろ当然の成り行きと見る。

11月第2週の大陽線の値幅にはらまれる形で、足元まで週足における大きな「インサイド」のサインが形成され、近々ブレイクを果たすだろう。この意味では、前述のトライアングル型保ちあいが長ければ長いほど、今後ブレイクに伴うモメンタムが強く、またブレイクしやすいタイミングに差しかかかるだろう。

足型では、先々週と同様、先週も「スパイクハイ」のサインを灯し、既述の通り、先々週の頭重さを継承してきたと言える。その半面、トレンドレスの一環、またトライアングル型保ちあいの一環としてみる場合、このようなサインを過大解釈すべきではなく、あくまでブレイク待ちの示唆と受け取れる。

更に、米ドル全面安の流れのなか、主要外貨のうち、円の「出遅れ」が鮮明となり、主要クロス円の堅調さとは対照的に、明暗分けがはっきりしている。要するに、あくまで米ドル全面安の一環と理解すべきで、所謂「リスクオンの円高」ではないことを一層鮮明化している。もちろん、保ち合いの継続があっても早晩ブレイク、またそのタイミングが近づいてきたが、下値リスクが消えたわけでもない。

繰り返し指摘してきたように、一番重要な視点はドルインデックスとの連動というか、米ドル全面安の流れにあることだ。ドルインデックスは年初来安値を更新しているなか、米ドル/円の保ち合いがあっても弱含みで、これから再度103円関門のトライがあってもおかしくない。

その半面、主要外貨のうち、実は円が一番弱く、主要クロス円における「外貨高・円安」の流れが継続されていることに鑑み、また3月安値になお距離を保つ米ドル/円の値幅限定自体が、株高の環境における「リスクオンの円高」を否定しているように見える。

すなわち、あくまで米ドル安が本流であり、円高の傾向が続いても受動的である。むしろ主要外貨のうち、円の「出遅れ」が鮮明で、これから円の上昇余地があっても限定的であり、円の値動きを切り抜いて円高云々というのは適切でない。この意味において、103~105円といったレンジ内の変動レンジは、なお続く可能性もある。

とは言え、先週の見方と同様、3月高値を起点とした下落波の進行が続いていることも事実である、11月23日に再度切り返したものの、足元まで上値の重さが繰り返し確認されてきた。このまま下値トライが続く場合は、11月安値の再打診があっても流れの一環と割り切る。

直近の値動きに鑑み、103.65~104.75円といった変動レンジの形成も鮮明になりつつある。そろそろブレイクのタイミングが近づいてきたため、103円後半の支持が再度確認できれば、「意外」に底固い推移に留まる可能性も出てくる。

すなわち、弱い基調が大分続いてきた分、本来「底割れ」がすでに確認されてもおかしくないが、それを回避してきた米ドル/円の「底固さ」を軽視してはいけない。主要クロス円における値動きとは対照的に、また明暗が鮮明になりつつあるが、一段と拡大があるかどうかが目先の焦点となるであろう。

豪ドル/円  日足

週間予想レンジ:78.00~80.00

メインストラテジー:押し目買い

・年初来高値更新で、新たな上昇ステップを踏む
・「リスクオンの円安」が本来の姿、継続へ
・上昇モメンタムの一段加速も
 

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週続伸し、78.81円の打診で年初来高値の更新を果たした。週足では11月から連続陽線を形成し、年初来高値も自然な成り行きであった。繰り返しとなるが、米ドル全面安が本流と認定できる中、受け皿として豪ドル対米ドルは買われており、上値余地の大幅拓きで豪ドル/円の高値更新も規制路線であり、また単なる通過点に過ぎない。

日足で、もっとも大きなサインは11月9日の急伸である。メイン抵抗ラインのブレイクをもって内部構造を鮮明に示唆し、従来のブルトレンドへの復帰を果たした。そのため、先週の高値更新は、むしろ想定より遅かったと言える。既述のように、米ドル/円の軟調で上昇モメンタムが限定された故、スピード的には全く過熱感はないと思う。

言ってみれば、8月31日高値78.47円を起点とした反落波や、10月末安値73.13円までの反落自体が典型的なジグザグ構造を示し、同反落を証左するには10月高値のブレイクが1つの物差しであった。ゆえに、その後の続伸や高値トライがあって、ジグザグ調整子波の終焉を示唆した。また、ブル基調への復帰を示したと見なされ、年初来高値自体も単に通過点にすぎないため、先週の続伸で上昇モメンタムをさらに加速していくことになるだろう。

そうなると、仮に米ドル/円の下値打診があっても、76~77円関門前後のメイン支持ゾーンを割らない限り、ブル基調の継続が有力視され、またブル基調を保つであろう。さらに、先週の高値更新を受け、目先の同支持が78円関門前後へ上方修正でき、深押しを回避できる見通しも高まる。

従来の抵抗ゾーンが一旦突破されると、一転して支持になりやすいという経験則では、何らかの材料なしでは76円関門を安易に割り込めない、という見方は繰り返し指摘してきた通りである。米ドル/円の下放れがあってもブル基調が維持される公算だ。

11月9日の大陽線が、途中の加速の象徴としてブルモメンタムの維持を示唆した。同大陽線が否定されない限り、10月高値の更新が「ホンモノ」と認定でき、また前述のブル構造の維持につながることも繰り返し指摘してきた通りである。先週の高値更新でそれが一段と確実となり、割り込むリスクは当面見当たらないであろう。

したがって、8月末高値から10月末安値まで2ヶ月間かかった調整子波は、11月9日大陽線をもってその終焉が証左された以上、年初来高値の更新を「当然の結果」と位置づけ、3月安値を起点とした大きな上昇波の一段延長を確実視する。年初来高値の更新があった以上、80円心理大台の打診も確実視される。

2ヶ月間の調整があったからこそ、3月安値を起点とした大型上昇波がより健全化され、上値追いしやすい環境にある。先週の高値更新で一層トレンドの鮮明化をもたらし、「押し目待ちに押し目なし」といったリスクがより拡大されたであろう。「リスクオンの円高」の見方が間違いであると証明された以上、豪ドル高の流れが加速し、80円心理大台以上に定着する可能性も念頭におきたい。引き続き強気スタンスで臨みたい。