先週末のNY市場では主要な株価指数がそろって史上最高値を更新した。雇用統計悪化を受けて追加の経済対策で与野党合意が近づくとの見方から景気敏感株中心に買いが優勢となった。ダウ平均は高値引けで史上最高値を更新。S&P500、ナスダック総合も史上最高値を更新した。

この流れを受けて週明けの東京市場も買い先行で始まりそうだ。今週、日経平均は2万7000円の大台を試す場面もあるだろう。ただ、基本的には見送り姿勢が強くなりそうだ。10日のECB理事会に続いて来週にはFOMC、日銀の金融政策決定会合と中央銀行イベントを控えている。特に今回はECB、FOMCとも追加緩和の観測が強く、為替が大きく動く可能性があり要警戒である。週末のメジャーSQを気に懸ける向きもあるが、基本的にSQで相場が荒れたためしがない。ただ、今回は前述した通り、多くの投資家が様子見となるなかで為替の動きと相まって波乱となる可能性も否定はできない。

今週は英国でファイザーのコロナウイルス・ワクチンの接種が始まる。米国では10日にFDA(食品医薬品局)がファイザーのワクチン承認を議論する会合を開く見通しで、早ければ11日にも接種が始まる。コロナ終息に向けた期待が一段と高まるだろう。一方、足元では再び感染が拡大している。ジョンズ・ホプキンス大の集計で、世界の新規感染者は初めて60万人を突破した。米国の新規感染はロイターの集計では20万人を越えた。ただ、いち早くロックダウンなどの措置を講じた欧州では落ち着いてきている。フランスでは約1万人と11月はじめのピークから8割ほど減った。英国やスペインでも1カ月ほど前のピークから4~6割減った。正しく対処すれば感染拡大を制御できるという実績ができてきたのは朗報だろう。

今週の予定で主なものは、日本では8日に7~9月期GDP確報値と11月景気ウオッチャー、9日に10月機械受注と11月工作機械受注(速報値)が発表される。米国では8日に大統領選の選挙結果認定期日を迎え選挙人指名が行われる。ただ、最終的なヤマ場は14日の選挙人投票だ。7日の中国の貿易統計も中国関連株物色の材料になり得るので要注目だ。

まとめると、中央銀行の会合が続くため様子見の投資家が多く動意に乏しい展開か。ただ米国株の最高値更新やワクチン期待で相場の基調は強く、高値での保ち合いだろう。日経平均は2万7000円の大台を試す場面もあるだろう。懸念材料を挙げれば、エムスリー、SGHD、日本ペイントHDなど、今年相場をけん引してきたトップパフォーマーが先週、利益確定売りでそろって崩れてきていること。早々に手仕舞いの動きが出始めたのかもしれない。一時的なものであるか確認したい。

今週の予想レンジは2万6300円~2万7200円とする。