米大統領選挙のアノマリー

米大統領選挙年の米ドル/円は、選挙前は小動きが続くものの、選挙前後から一方向への大相場へ「豹変」するパターンが繰り返されてきた。その一つの目安は、90日MA(移動平均線)からのかい離率が±2%をブレークすることだった。

さて今年は、これまでのところ同かい離率の±2%ブレークは一時的にとどまり、たとえば先週末、11月13日時点の同かい離率は-0.94%といった具合に、未だ±2%以内にとどまっていた。では、今回は大統領選挙後に、米ドル/円が一方向の大相場になるといった「アノマリー」は未遂に終わるのか。

米大統領選挙後、11月半ばの時点で、今回のように方向感が明確にならなかったケースはあった。たとえば、11月13日時点の米ドル/円の90日MAからのかい離率が±2%以内にとどまっていたケースは、2000年以降、前回2016年まで5回の米大統領選挙年で2回あった(図表参照)。

出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

ただし、2000年以降の米大統領選挙年の米ドル/円は、最も遅かったケースでも11月21日までに90日MAからのかい離率が±2%をブレーク、そして一方向への大相場が始まるところとなった。ちなみに、大統領選挙後の大相場の始まりが2000年以降で最も遅かったのは2000年だった。

さて、その2000年は、勝敗の決着が長引いたという点で今回と似ているとされる。その意味では、今回も勝敗がすぐに決着しないことから、大相場への「豹変」が遅れているということなのか。それとも今回は、小動きから大相場への豹変といった「アノマリー」は未遂に終わるのか。

過去の経験を参考にすると、今週中に米ドル/円に方向感が出るか、別な言い方をすると90日MA±2%レンジをブレークするかは注目されそうだ。ちなみに、足元の米ドル/円90日MAは105.6円程度なので、それを2%下回る水準は103.5円、2%上回る水準は107.8円程度といった計算になる。