今週は13日にIMFの世界経済見通しが発表される。すでにゲオルギエバ専務理事が講演で、今年の世界成長率の予測を従来のマイナス4.9%から上方修正すると表明している。中国の回復ペースの上振れや、各国の財政出動や金融緩和で、世界経済の回復が想定を上回ったためとしている。景気回復を映して先週は景気敏感株の中でも海運、鉄鋼、非鉄金属、ゴム、ガラス・土石といった素材関連株が物色された。今週はファナック(6954)、SMC(6273)、日立建機(6305)など中国関連の機械株が物色されるだろう。先週末に発表された安川電(6506)の決算が追い風になりそうだ。

安川電は2021年2月期の純利益が前期比0.4%減の155億円になる見通しだと発表した。中国で5G需要の拡大を追い風に主力のモーターが好調だという。上場企業全体では今期はおよそ2割減益の見通しのなか、現時点でほぼ横ばいの利益予想を開示したことを市場は好感するだろう。純利益の155億円はクイックコンセンサスを下回るものの、営業利益などはほぼコンセンサス通りだった。受注高は中国が13%増と9四半期ぶりに前年同期比でプラスに転じた。12日に発表される9月の工作機械受注の速報も期待できるだろう。

今週は注目の決算が相次ぐ。まずは米国で7-9月期の決算発表が始まる。13日のJPモルガン、シティを皮切りにGS、ウエルズファーゴと金融機関の決算発表が続く。米国以上に注目なのが14日の露光装置の世界大手ASMLホールディングス(オランダ)、15日のTSMCの決算だ。これらの決算次第ではあるものの、半導体関連が一段高となる公算が高い。日本では15日のファストリ決算が注目される。

注目イベントは、アップルが米西部時間13日午前10時から開くオンライン特別イベントだ。5Gに初めて対応する新型iPhoneを発表するとみられている。アップル関連の電子部品株が買われるきっかけになりそうだ。

15日のEU首脳会議が波乱材料と見られているが日本株には影響は少ない。英国とEUの自由貿易協定(FTA)交渉の期限を迎えるが両者の妥協点が見えないためおそらく期限は延期されるだろう。それより米国の追加景気対策に関する与野党の動向のほうが市場へのインパクトが大きい。追加景気対策に関連した報道で米国の相場が大きく動く展開に注意したい。それ次第で日経平均は2万4000円台を試す展開に。年初来高値更新も視野に入る。

今週の予想レンジは2万3500円~2万4100円とする。