大統領選挙結果の掛け率と世論調査
米大統領選挙の投票が1ヶ月以内に迫ってきた。その中で、9月29日には第1回目の大統領候補者同士の討論会が行われ、そしてその直後にトランプ大統領のコロナ感染といった「サプライズ」もあった。
そんな波乱万丈の展開の中で、大統領選挙の見通しはどんなふうになっているのか。結論的にいうと、バイデン勝利予想が加速度的に拡大しているようだ。
とくにわかりやすい結果となっているのは、大統領選挙結果への掛け率の推移ではないか。代表的な業者、Real Clear Politics(RCP)のLatest Betting Oddsを見ると、バイデン候補の勝利に賭けた割合から、トランプ大統領勝利に賭けた割合の差し引きは、第一回討論会まではバイデン有利が10ポイント未満だったが、討論会後は20ポイント以上に急拡大した(図表参照)。
次に世論調査を見てみよう。Rasmussen Reportsを見ると、トランプ大統領を「強く支持する」とした割合は、トランプ大統領のコロナ感染が明らかになった10月2日に、前日までの39ポイントから35ポイントに大幅な低下となった。
以上のようなデータを見ると、第1回討論会から、トランプ大統領のコロナ感染を経たこれまでのところは、大統領選挙見通しとしては、バイデン優勢が加速した形になっているようだ。
もう一つ注目されるのは、トランプ大統領周辺にコロナ感染者が拡大していることであり、とくに共和党上院議員から、複数名の感染者が出ている。これは、当面における焦点である追加経済対策や、最高裁判事指名において、議会での採決等で共和党が不利になることを意味している。
以上のように見ると、最近にかけてトランプ再選の可能性は低下し、当面の政策課題でも共和党は劣勢になっている可能性がある。そういった中で、週明け、月曜日の米国株はNYダウが400ドル以上といった具合に比較的大幅な上昇となった。
これは、トランプ共和党劣勢が株高要因ということか、また選挙結果にかかわらず株高の地合いが強いということか、そうでなければトランプ共和党劣勢を無視した株高は今後反動リスクを秘めている可能性があるのかもしれない。