コロナショックを機に投資を始めた個人投資家も多く、その後の株価上昇で利益が出た人がいる一方、乱気流相場に苦戦して市場から撤退した、という声も聞かれます。今回登場する「シュフーさん」は、資産運用と節約でお金を増やすブログ「しゅふろぐ」を運用し、インスタグラムなどでも自身の資産形成や体験談を積極的に発信する個人投資家。シュフーさんに相場の変動に慌てず、資産を増やすために必要な考え方について伺いました。
ブームに乗って最初は失敗。学び得た答えは、「分散・積立・長期投資」
――3児の母であるシュフーさん。投資を始めたのはいつ頃、どんなきっかけだったのかを教えて下さい。
私は幼いころから貯金が好きで、お金は貯めて増やすものだと思っていて、もともと投資というものには興味がありませんでした。
でも2017年に仮想通貨ブームがやってきたとき、Twitterで盛り上がっているのに影響を受けて、私もやってみようかな?と思いまして。
当時、仮想通貨がイケイケの状態で、私も最初は好調でした。これからもどんどん上がるような気分になって投資額を増やしていったら、まさかの大暴落…。
全部で80万円くらい損してしまいました。
――それは大変でしたね。そこで「もうやめよう」と思わなかったんですか。
はい。それを機に、真面目に投資の本や運用系のブログを読んで勉強しながら、色々な投資にチャレンジすることにしたのです。
本で学んだ知識を投資で実践していくなかで、時間を味方にして長期で投資していけば、損失を怖がらずに資産を増やすことができる場合があることがわかりました。
そして学び得た「分散・積立・長期投資」を軸に、今、コツコツ資産形成しているところです。
――資産形成の目的は何ですか。
1つは老後資金です。
私は自営業でWebデザイナーをしていますが、公的年金は国民年金に加入しているだけ。なので、将来受け取る年金額が会社員の方ように厚生年金に入っている人と比べるとかなり少ないんです。
そういったこともあり、老後に備えるためiDeCo(個人型確定拠出年金)を活用して運用しています。
――iDeCoのどんなところがメリットだと感じていますか。
iDeCoの場合、税制優遇が魅力だと思います。iDeCoで投資したお金は丸ごと所得控除の対象になりますから。所得税は所得の額に応じて金額が上がるので、所得控除で所得金額を減らせば節税にもなりますしね。
――iDeCoの運用商品はどのように選ばれましたか?
ここでも「分散・積立・長期」の観点で、全世界の株式に投資する投資信託の商品がいいと思って「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」を選びました。世界中に分散投資するのでリスクも低いですし、世界経済の成長の恩恵を得られますから。
また、運用コストが安いという点も魅力です。iDeCoは、加入時も加入後も、手数料がかかります。そのため、月々の口座管理手数料が安い証券会社を選んだ方がいいと思います。10年~20年と長期的に運用するものなので、結果的にかなりのインパクトになりますからね。
――現在、運用状況はどんな感じでしょうか?
運用状況はプラスになったりマイナスになったり。2020年3月のコロナショックで基準価格が-20%くらいになりましたが、また元に戻ってきています。
――マイナスになったときは、ガッカリしませんでしたか?
長期で運用すれば一時的にマイナスになっても元に戻ることが多いと分かってきたので、そんな動揺しませんでした。自分が60歳になった時点でプラスになっていれば大丈夫、と思っているので。
――運用状況は頻繁にチェックされていますか?
頻繁には見ていないです。iDeCoは、銘柄を決めて、金額を決めて決定すれば、あとは放っておけるのがラクだと思います。
1万円くらいで積み立てを始めて、マーケットの動き等を体感しつつだいたいどんな感じなのか分かって来たら金額を増やすことを検討するのもいいと思いますよ。
――iDeCoのデメリットはありますか。
60歳まで引き出せないのはメリットでありデメリットでもあると考えていますね。そのため、私はiDeCoと併せて「つみたてNISA」も活用しています。
すぐ使うお金も必要という場合、まず「つみたてNISA」を優先的に利用して資産運用し、それでも余裕が出た金額を、iDeCoに充てるのがいいのではないかと思います。「つみたてNISA」であれば、万が一お金が必要になった場合に引き出せますから。
私の場合は、老後資金よりも先に子どもたちの教育資金が必要になるので、他にもいくつかの投資と組み合わせて分散しています。
――ここでもやはり「分散」の観点がポイントですね。後編では、シュフーさんがどのように様々な投資を組み合わせながら「分散・積立・長期」の効果を高めているかお伺いします。
【後編】投資は「やってみれば分かる」もの。楽しみを見つけてコツコツと
(※)本インタビューは2020年8月20日にオンラインで実施いたしました。
【聞き手:ライター 阿部桃子、マネクリ編集部】