選挙前に株安なら政権交代
米国株は先週後半急落した。7日のレーバーデー明けは、経験的には米国における実質的な夏休み明けであり、金融市場も本格再開、相場は一方向へ動き出すことが多かったが、では、株価は一段安に向かうのか、それとも株高再燃となるのか。
それは、この数ヶ月「米ドル安・株高」の組み合わせが続いてきたことを考えると、為替の今後の行方を考える上でも重要な意味を持ちそうだ。それとともに、11月の米大統領選挙にとっても、極めて重要な意味になる可能性がある。
1980年以降10回の米大統領選挙で、政権与党(大統領出身党)が交代したのは5回だったが、この5回では基本的に選挙が近づく中で「××ショック」が起こり、株安傾向となっていた(図表参照)。その意味では、株価はあたかも政権与党にとっての「成績表」のようなもので、株高なら続投、株安なら交代となってきた可能性が高そうだ。
なみに、前回、2016年の米大統領選挙では、投票の半年ほど前にBrexit(英国のEU離脱)ショックが起こり、世界的なリスクオフ、株安となった。そして、その「悪夢の記憶」が残る中で、当初は「泡沫候補」扱いだったトランプ氏がまさか勝利するといった「悪夢の連鎖」に怯える中で株価低迷が続いた。
こういった中でも、当時は大統領選挙直前まで、政権与党の大統領候補、ヒラリー・クリントン氏優勢との見方が基本だった。じつは、それはこれまで見てきた米大統領選挙パターンからすると「甘かった」と言われても仕方ないのかもしれない。
2016年の米大統領選挙で、「本命」クリントン氏が敗北したのは、米大統領選挙パターンを参考にすると、Brexitショックからの株価回復を十分達成できなかったことが大きかったのではないか。
さて、そういった見方からすると、3月「コロナ・ショック」の株価大暴落から、ほんの数ヶ月で株価が急回復したことは、世論調査等での「民主党・バイデン有利」との見方と異なり、過去の経験からするとトランプ再選の可能性を高めるものといえるだろう。
このまま、株反発傾向が続きトランプ再選となるのか、それとも先週からの株急落が一段と広がるようなら、そこでいよいよ民主党への政権交代の可能性が浮上するということではないか。