上海総合指数は反落も引け味は悪くない

先週の上海総合指数は反落となりました。9月3日(木)までは横ばい気味の推移だったのですが、9月4日(金)に大きく下落しました。

これは米国株が9月3日(木)に大きく調整をしたことが影響しています。ただ、9月4日(金)は大きく下がったところからスタートしたのですが、その後終盤にかけて下げ幅を縮小しており、引け味はそれほど悪いものではありません。

なお、9月4日(金)は米国株も、一時大幅安の流れが続きましたが、ちょうどそこで押し目買いが入り、たとえばナスダック総合指数はちょうど綺麗に50日移動平均線で反発した形となり、チャートでは長い下髭が出ています。

経済回復を示す中国の経済指標

先週は中国の経済指標がいくつか発表されましたが、こちらも悪いものではありませんでした。

まず、8月31日(月)に発表された8月の中国国家製造業PMIは51.0となり、7月実績の51.1や市場予想の51.2は下回ったものの、景況感の境目である50を上回っています。また、8月の中国国家非製造業PMIは55.2で、こちらは7月実績の54.2や市場予想54.2を大きく上回りました。

9月1日(火)に発表された8月のCaixin中国製造業PMIは53.1と、こちらも7月実績の52.8や市場予想の52.6を上回りましたし、Caixin中国サービス業PMIも54.0と、7月実績の54.1は下回ったものの、市場予想の53.9は上回りました。

このように中国の経済指標は中国経済の回復を示し始めています。この中で、中国政府は国内大循環戦略を示しています。

国内大循環とは、生産、分配、流通、消費といった各セグメントのつながりをスムーズかつ強くすることで、巨大市場中国の優位性を発揮させ、国内の需要を満足させることを経済発展の出発点とするといった意味です。

要するに財政投資を拡大する方針です。景気が良くなっていく中で、財政投資が拡大されれば中国経済は加速し、株価も上昇傾向となる可能性が高いと考えられます。

香港株は軟調な動き

香港ハンセン指数は上海総合指数よりも軟調な動きとなっています。ただ、大きく下落しているのは中国工商銀行(01398)や中国建設銀行(00939)といった中国本土の銀行株です。

その一方で、テンセント(00700)、アリババ(09988)、JDドットコム(09618)、美団点評(03690)、網易(09999)、小米集団(01810)といったニューエコノミー銘柄は、9月4日(金)に米国のナスダックが調整したことから大きく調整したものの、長期トレンドとしては依然として堅調な株価推移を保っています。

テンセント(00700)は50日移動平均線を株価が下回りましたが、それ以外の銘柄の株価は50日移動平均線の上で推移しており、上昇トレンドを崩していません。

ニューエコノミー銘柄は依然強い株価推移が続く

業績を見ても、ニューエコノミー銘柄は優れています。たとえばアリババ(09988)の2020年4~6月期の業績は予想を超える強い決算でした。売上は前年同期比34%増、純利益は124%増といった具合です。

主力のコアコマース部門は、核となる中国国内のコアコマース事業(タオバオ、Tモール)が好調で、その年間アクティブ消費者数は2020年3月末より1,600万人増えて7億4,200万人となりました。株価チャートを見ると株価は割高にも感じるのですが、長期の成長性を考えると、まだ上昇余地は大きく残されていると思います。

さらに同社にとっては傘下のデジタル金融企業、アント・グループが上場するという好材料もあります。史上最大のIPO(300億ドル調達との観測)となる可能性もあり、期待が高まっています。

こういった良い流れはアリババに限らず、ニューエコノミー株全般に言えることだと思います。香港ハンセン指数は軟調な推移が続く可能性があるとしても、ニューエコノミー株は引き続き強い株価推移が続くのではないかと予想します。