2年4ヶ月ぶりに1.2米ドルまで上昇したユーロ
1日に、2年4ヶ月ぶりに1.2米ドルの大台まで上昇したユーロ/米ドルは、2日は一時1.18ドル台前半まで反落した。1.2米ドルまで上昇する中で、一部のECB(欧州中央銀行)幹部からユーロ高けん制とされる発言が出たことなどへの懸念との声もあったようだが、基本的にはユーロ「買われ過ぎ」の影響だろう。
CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋のユーロ・ポジションは、買い越しが20万枚を上回り、確認できる限りの最高を大きく更新してきた(図表1参照)。限られた下落にとどまるまま、ユーロ上昇の流れが続く中で、ユーロ買いへの行き過ぎたポジションの偏りに対する懸念は強くなっている。
では、1.2米ドルの大台に到達したことで、ユーロ高は一段落し、ユーロ「買われ過ぎ」の反動などから下落が本格化するだろうか。その鍵を握るのは米国株の動向ではないか。
1.2米ドルまでのユーロ/米ドル上昇は、NYダウなど米国株の上昇と連動してきた(図表2参照)。なぜ、ユーロ高・米ドル安と米国株高が一定程度に高い相関関係となってきたのか。それについて私は、「米ドル・キャリー」の影響ではないかと考えてきた。
「米ドル・キャリー」とは、FRB(米連邦準備制度理事会)の低金利政策により低利で安く調達できるようになった米ドルを借り、為替リスクをとって株などに投資する運用だ。2008年の「リーマン・ショック」以降に話題となったことがあったが、米ドルを売って株などを買うため、基本的に米ドル安・株高といった組み合わせになる。逆に、株価が下がると米ドル買い戻しをもたらすことから、株安・米ドル高となる可能性が高まる。
以上のように見ると、ユーロ高・米ドル安が一段落し、ユーロ安・米ドル高へ転換する鍵を握っているのは、怒涛の勢いの米国株高が一段落、株安に転換するかということではないか。