早いもので、今週から9月相場入りとなりましたが、前週末にマーケットが揺らぐニュースが飛び込んできました。安倍首相の辞任です。安倍首相の辞任がマーケットに及ぼした影響と、前週にあけた窓との関係についても考えてみたいと思います。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※赤丸=埋まっていない窓、青丸=埋まった窓

安倍首相の辞任で株価はどのように変化したのか

まずは安倍首相の辞任報道で、株価がどのような値動きになったのか確認したいと思います。報道が流れた8月28日のローソク足を見ますと、上ヒゲと下ヒゲのある比較的長い陰線が形成されているのが分かります。

速報ニュースは午後2時過ぎに流れましたが、第一報を受け、株価は急落すると同時に25日移動平均線を下回る場面がありました。ただ、取引終了にかけては下げ渋り、25日移動平均線上を維持して終えています。

また、翌営業日(8月31日)は反発しましたが、上ヒゲを形成すると同時に、その後も上値の重い展開となっているのが分かります。

このように、安倍首相の辞任報道の後の株価は急落したものの、上向きの25日移動平均線上を維持しており、中長期の上昇トレンドに変化はないと考えられそうです。

では、なぜ短期的な下落で調整が終わったのでしょうか。テクニカル分析ではどのように解釈すればよいのでしょうか。

先週発生した窓はどうなったのか

私は、前回コラムで触れた新たに発生した窓が関係していると考えています。もちろん、上向きの25日移動平均線がサポートになったことは言うまでもありませんが、それに加えて、8月24日と25日のあいだにあけた窓を埋めたことが、短期的な調整で終わることにつながったのではないかと考えています。

なぜなら、8月24日と25日のあいだにあけた窓がコモンギャップと考えられることから、窓を埋めたことで達成感が出たのだと思います。

ここで言う達成感とは「株価水準」のことです。窓を埋めたことによって株価水準が元に戻り、売りのエネルギーは発散したと考えられるのです。

今後の動向について

続いては今後の動向についてです。株価は8月25日に高値をつけて、2020年2月にあけた窓を埋めましたが、その後は前述の安倍首相の辞任報道を受け、上値の重い状態となっています。

また、9月1日には、わずかに5日移動平均線を上回って終えていますが、株価水準は徐々に切り下がっています。

そのため、8月25日の高値を終値で更新するまで、もち合いが続くのではないかと思われますので、売買タイミングには注意が必要です。

一方で、上下どちらかに窓が発生した場合でも、トレンド発生を示唆する窓なのかどうかに注意し、高値掴みにならないことや、安値で売ってしまうことがないよう注意する必要があると思われます。