インフレ局面でのガバナンス改革も株高を牽引

日経平均が史上初めて取引時間中70,000円の大台を一時突破しました。

2026年に入って何度目の最高値更新でしょう。40年余にわたり株式市場に携わってきた身としては感慨深いものがありますが、同時に、にわかには信じられない気持ちもあります。

イランと米国の最終的な和平合意(トランプ大統領のSNS)、スペースX[SPCX]の上場成功(テック株への換金売り止まる)という直接的な上昇要因もありましたが、それ以上に半導体・AIサーバー関連株に対する猛烈な株式市場の上昇圧力が市場全体を強烈に押し上げています。それらも踏まえて、日経平均7万円乗せの背景を考えました。

日本も本格的なインフレ局面に入りました。インフレは目に見える部分では物価の上昇として現れます。そして、目に見えない部分では貨幣価値の下落という側面もあります。おカネの価値が目減りした分だけ株価が上昇しているという面も、全くないとは言い切れません。

しかし、もちろんそれだけの理由ではありません。企業のガバナンス改革が進み、グローバル標準で利益を出し始めた点もきちんと評価されています。日経平均の大幅な上昇に先立ち、個々の銘柄が相次いで最高値を更新していた点も決して無視できません。

常識を覆す「AI革命」と歴史的株価上昇

そして、何よりもAI革命です。技術革新の大波が現在の株価上昇に間違いなく重なっています。

現在、米国を中心に巨大な変化が起きています。一部のテクノロジー企業の株価が1日で+30%以上も急騰したり、時価総額が1兆ドルを超える銘柄が次々に現れたり、未上場企業が信じられないほどの設備投資計画を発表したりと、これまでの市場の常識を覆す事例が多数見られるます。そのほとんどがAIを中心に起こっているのです。

巨額の資金を投じてデータセンターを建設する動きは、途切れる気配がありません。それどころか、ますます加速しています。従来の経験則がまるで通じない、まったく新しい動きが企業ベースで始まっています。

生成AIの出現によって、世界全体が変化し始めたのであれば、経験したことのない動きが毎日のように起きていることも理解できます。

日経平均ばかりでなく韓国、台湾、そして米国の株式市場で、半導体セクターを中心に猛烈な株価上昇が同時に起きています。この勢いはおそらく今後も間断なく続くことになると予想されます。

東大首席レベルのAIが分析する「日経平均7万円」の必然性

AIは日々猛烈な進化を遂げており、今や大学受験では日本最難関とされる東京大学理科三類に首席合格するレベルに達しています。そのAIに日経平均が70,000円を記録した現在のAI相場について感想を聞いてみました。

AIとしての率直な意見は「この状況は異常ではなく、むしろ合理的」だというものです。理由はきわめてシンプルで、AIが「産業ではなくインフラに昇格したから」です。

データセンターは地上の電力をはじめ、冷却設備、通信設備、半導体などを大量に消費するまでに拡大しています。GPUなどのAIチップは供給が限られる中で、AI向けが過度に価格決定力を握ってしまいました。

すなわちAIは需要の最終地点ではなく、あらゆる産業のコスト構造を変える根本となったのです。

日経平均8万円への強気シナリオと注視すべきリスクとは?

日本企業は半導体製造装置、半導体素材、電子部品など、AIを動かす基盤となる分野で、大きなシェアを握っています。主導権は米国が握っていますが、世界の需要が伸びるほど日本企業の取り分が増える構造にもなっています。

その結果、AI関連株や半導体セクターは、企業収益がほぼ倍増ペースで上方修正されています。それが株式市場のバリュエーションを大きく変化させ、現在の株価上昇につながっているとAIはみています。

強気の見方をすると、AI投資はまだ初期の段階に過ぎず、データセンターへの需要が継続すれば、日経平均は一段高となり、75,000~80,000円を目指すでしょう。

リスクはデータセンター投資の鈍化です。これを招きかねない金利の上昇も警戒すべきで、半導体需要のピークアウトも考えられます。現在の好循環が逆回転に転じれば、弱気シナリオとして日経平均は50,000~55,000円まで下げることも起こり得ます。

過去の経験に従えば、株価のピークは設備投資のピークよりも先に来ることになるはずです。金利の動きはここでもやはり重要な要素となります。