コロナショック時のバフェット投資行動とは

2020年に入ってからの新型コロナウイルスに端を発する米国株の暴落の間、オマハの賢人と呼ばれるウォーレン・バフェットの投資行動は静かなものでした。5月の株主総会で分かったことは、バフェットは底値で航空会社株を全て売却したものの、その規模を超えるような株式の買いを行うこともなく、ある意味ウォール街の投資家をがっかりさせていました。
それは、投資家はバフェットが、今回の株価の大きな下落でどのような投資行動を取ったのか興味津々だったからです。

その後、天然ガス資産の購入、また、今まで保有してきたバンク・オブ・アメリカ株を20億ドル(約2,120億円)分追加投資などはしましたが、バフェットにしては、これらは決して大きな額の投資ではありません。但し、バンク・オブ・アメリカ株の投資にしては、あくまでもパッシブな投資(経営に関与しない)という条件で発行済み株式の24.9%まで追加投資するという許可をSEC(米国証券取引委員会)から取得していますので、今後の動向は興味があるところです。現時点でバークシャー・ハサウェイによるバンク・オブ・アメリカの保有率は12.2%ですので、最大ここからポジションを倍にすることは可能となっています。

バークシャー・ハサウェイ、4-6月期に行った新たな投資

バークシャー・ハサウェイは、8月8日土曜日には第2四半期の決算発表を行ったのですが、同時に4-6月期に行った新たな投資も発表しています。これにより、同社が久しぶりに大きな投資行動に出たことが分かりました。それは、自分が会長を務めるバークシャー・ハサウェイの株式の自社株買いです。バフェットは、同社の自社株買いに51億ドル(約5406億円)を使いました。

今までのバークシャー・ハサウェイの1四半期に行った自社株買いの倍の額で、過去最高の金額となります。株主総会の際には、バフェットは同社の株価は決して安くないと言っていましたので大きな方向転換です。バークシャー・ハサウェイのA株の発行済み数は162万株でしたが、今回の51億ドル(2万株相当)の自社株買いにより発行済み数は160万株へと減少しました。7月に入ってからも同社は24億ドル(約2,544億円)の追加投資を行っており、発行済み株式数は159.2万株まで減っています。なおバークシャー・ハサウェイは、A株に加えてB株の発行も行っていますが、今回自社株買いを行ったのはA株だけです。


過去10年間で最大規模の売却額の対象とは

4-6月期は、バークシャー・ハサウェイは自社株買いを行う一方、130億ドル(約1.378兆円)分の保有していた株式を売却していますが、これは過去10年間で最大の株式の売却額です。売却の対象となったのは、ゴールドマン・サックスの株に加え、5月のバーチュアルな株主向けの講演後世界的に話題となったデルタ航空(DAL)、ユナイテッド・エアラインズ・ホールディングス(UAL)、アメリカン航空グループ(AAL)、サウスウエスト航空(LUV)などのエアライン株等でした。


歴史的に最高規模の現金を保有、その用途は?

今回の発表でバークシャーは、2020年6月末の時点で1,466億ドル(約15.5兆円)という歴史的に最高の現金を保有していることが分かりました。バフェットが、今後この現金をどうするつもりなのか興味深いところです。

※マネックス証券では、バークシャー・ハサウェイ クラスA(NYSE: BRK.A)の取扱いはしておりません。