資産の組み合わせで着目すべき「相関係数」

私の資産運用方法は、アセットアロケーションを考え、出来る限り投資対象を分散させることを基本にしています。しかし、資産を分散させても、同じような値動きをするものであってはあまり意味がありません。

例えば米国株と日本株は、株価が同じ方向に動くことが多く、分散効果はあまり高いとは言えません。

2つの資産の値動きの関係は「相関係数」によって数値化することができます。

相関係数が1だと、完全に同じ動き。逆に相関係数が-1だと完全に逆の動きとなります。分散効果があるのは相関係数が0に近い、値動きに相関の関係が無い資産の組み合わせが良いのです。

分散効果を高める上で有効な仮想通貨

仮想通貨は、数年前に投資ブームになりましたが、今は投資家の注目が集まっているとは言えません。

しかし、私は資産に仮想通貨を組み入れた方が良いと考えています。なぜなら、株式や債券などの金融資産や、不動産のような実物資産との相関が小さく、ポートフォリオに組み入れることで、資産全体の分散効果を高められるからです。

仮想通貨自体の価値に対して懐疑的な投資家もいますが、私はビットコインなどの主要な仮想通貨は今後も富の置き場所としての価値を持ち続けると考えています。

金(ゴールド)と同じように、資産の逃避先としての存在価値を持っており、金よりも国境を越えた富の移動を行いやすいという考え方もできるからです。

仮想通貨ならではの注意点

ただし、仮想通貨の取り扱いには、他の資産には無い注意点があります。それは、仮想通貨がデジタルな投資対象で、電子的に保管しなければならないということです。

2014年に、仮想通貨取引所のマウントゴックスがハッキングされ、取引所に預けられていた仮想通貨がネットから侵入したハッカーによって盗み出される事件が発生しました。

このような、トラブルを避けるためには、コールドウォレットと言われるネットから遮断された場所に、仮想通貨を保管しておく必要があります。しかし、自分で保管する場合、保管方法をきちんとやっておかなければ、ハッキングのリスクを遮断できたとしても、今度は自分がウォレットから取り出せなくなるリスクもあります。

また、仮想通貨のやりとりにも、注意が必要です。送金先のアドレスを間違えてしまうと、どこにいったか分からなくなってしまい、取り戻せなくなるリスクがあります。アドレスは数字とアルファベットの並んだもので、一見しただけでは銀行口座のように正しいかどうか判断できません。

私は、仮想通貨を送金するときは、まず小額でテストし、アドレスが間違っていないことを確認してからまとまった金額を送るようにしています。

仮想通貨を保有していたものの、アクセスできなくなってしまったり、紛失してしまったりという例は、私の周りでも多く聞かれます。

仮想通貨でも実践したい「2つの分散」

仮想通貨は値動きの激しさから、短期売買で利益を得ようとする人がいますが、私はお勧めしません。タイミングを狙って売買しても、感情的な取引を行うことになって、結局高値掴みになってしまう場合などがあるからです。

それよりも、投資信託と同じ発想で「2つの分散」を使って保有するのが良いと思います。

1つ目の分散とは、投資する仮想通貨の分散です。仮想通貨と言えば、ビットコインが代表的です。為替取引で言えば、米ドルのような存在です。ビットコインだけを保有するのではなく、ビットコインを中心にイーサリアム、リップルといった主要な仮想通貨に分散させておくのが良いと思います。なぜなら、どの仮想通貨が値上がりするのかは誰にもわからないからです。

そしてもう一つの分散は投資タイミングの分散です。1度にまとめて投資するのではなく、投資信託の月次積立のように何回かに分けて投資していくことで、高値掴みを避けることができます。

アセットアロケーションの観点からは、保有資産全体の10%は仮想通貨で保有しても良いと思います。

仮想通貨は、他の金融資産や、不動産などの実物資産と組み合わせることで、より輝きを増す資産という見方もできるのです。