このレポートのまとめ

1.米国株式市場が大統領選挙を意識し始めた
2.大統領選挙の今後の予定
3.不況だと現職大統領が不利に
4.9・10月の下げに注意
5.新型コロナウイルス第2波について
6.金融相場では強気で臨む

米国株式市場が大統領選挙を意識し始めた

今週に入って市場参加者の中から「トランプ大統領は勝てないのではないか?」という声が上がっています。トランプ大統領は「経済に強い大統領」という触れ込みなので、彼が選挙で勝てないということになると相場は軟調になることが懸念されます。

図表1はリアルクリアポリティクスがまとめた有権者投票意向調査の結果です。

【図表1】
出所:リアルクリアポリティクス

民主党の大統領候補、ジョー・バイデン氏がリードを広げていることがわかります。もうひとつのデータ・ポイントとして、賭け事のサイトにおけるベッティング・オッズでも最近、バイデン氏が優勢となっています。

【図表2】
出所:リアルクリアポリティクス

大統領選挙の今後の予定

大統領選挙の本投票日は11月3日で、まだまだ時間があります。目先の大きなイベントとしてジョー・バイデン氏が誰を副大統領候補に指名するかに注目が集まっています。下馬評では元カリフォルニア州検事で現在上院議員であるカマラ・ハリス氏が有力だとされています。

もうひとつのハイライトは8月17日からミルウォーキーで始まる民主党大会でしょう。

これらのイベントを通じて、いよいよ選挙戦が投資家の関心事となってゆくことが予想されます。

不況だと現職大統領は不利に

普通、大統領選挙では現職大統領が有利です。しかし現職大統領が不利になる局面もあります。それは米国経済が不況に陥った場合です。そのとき、有権者は不況の責任を大統領に求め、別の候補に投票することが一般的に知られています。過去に3回、そのようなケースがありました。

今回はすでに米国経済は不況入りをしているので、その観点からはトランプ大統領は不利だと思います。

9・10月の下げに注意

さて、現職大統領が負けるシナリオで株式市場はどうなるでしょうか。過去の経験則ではその場合でも8月くらいまでは株式市場は高かったです。そして9・10月に相場が軟調になることが通例でした。

新型コロナウイルス第2波について

大統領選挙に加えて、新型コロナウイルスの第2波も懸念材料です。いまフロリダ、テキサス、アリゾナ、カリフォルニアの各州で感染者数が増えています。特にテキサス州の場合、集中治療室のキャパシティがいずれ一杯になってしまうのではないかという懸念が持たれています。

今のところ、これらの州が再びロックダウン、すなわち外出禁止令を敷く可能性は低いと言われています。しかしもしそうなると経済に与えるダメージは大きいと予想されます。

金融相場では強気で臨む

全体として米国の経済ニュースは悪いです。それでも株式市場がここまで戻してきた主な理由は米連邦準備制度理事会(FRB)による果敢な緩和措置によるところが大きいと思います。このような金融緩和を背景とした強気相場のことを「金融相場」と言います。通常、金融相場は長期間に渡ります。今回の金融相場は今年の3月からスタートしたばかりです。その意味ではまだまだ先が長いと思います。

今後も色々な不安材料、悪材料で曲折は予想されるものの、基本的に私が米国市場に対し建設的な意見を持っている理由は「いまは金融相場だから」ということになります。