国家主義が、全世界的に進行しつつあります。新型コロナウイルス問題が、国家間で他国を批判することを惹き起こし、治療薬やワクチンも、自国で開発したものは先ずは自国から、という発想になり、この周辺の技術や情報の国際連携を止め、更には米中の対立などが進行する中で、その他先端技術も、各国が他国への流出を止める動きが活発になる、と云うように内向きのサイクルが加速しています。国境をまたぐ移動が大幅に制限されていることも、その心理的イメージが、この内向きサイクルを更に加速させているでしょう。これはもう新しい時代の冷戦とも云えるような状態です。

国家主義は国家間の対立だけに留まりません。新型コロナウイルスの恐怖から、各国に於いて、国民は自らの私権を制限して、ロックダウンされることを望み、或いは許容しました。国によっては、為政者がまさにそこにつけ込んで、一気に国家権力を増強し、国民の管理を進めたところもいくつかあります。これらは主に発展途上国での話ですが、先進国に於いてすら、恐怖のために国の管理を甘んじて受ける風潮が見受けられます。

緊急事態ですから、或る程度は致し方ありません。しかしこのような国家主義的動きが増えてくる中で、私たちは鈍感にならず、ひとつひとつそれらの主旨を丁寧にチェックし、理解し、行き過ぎた国家主義、即ちナショナリズムの進行を止めないといけないと思います。私は中道・中庸を目指す人間ですが、最近の世の中の動きは、世界中にて、ところどころ心配なので、しっかりと注意していきたいと思っています。