「高ボラは英ポンド」が変わった

今年に入ってから、豪ドルの値動きの活発化が目立っている。6月19日現在の2020年の変動率(年間高値-年間安値/年間終値)は、豪ドル/円が23.1%、豪ドル/米ドルが22.8%で、ここ数年、活発な値動きの「代名詞」のような存在となっていた英ポンド/円の15.6%を大きく上回っている。

為替相場ではここ数年、主要通貨の値動きの低下傾向が続いていた。その代表格が米ドル/円で、米ドル/円の年間変動率は、2019年は7.3%にとどまり、2020年は3月の「コロナショック」の乱高下があったものの、それでも、6月19日現在の変動率は10.3%。

その中で、2019年活発な値動きの期待を一身に集めた形となったのが英ポンド/円だった。Brexit(英国のEU離脱)といった注目度の高いテーマがあったことも影響し、2019年の英ポンド/円の年間変動率は15.5%に拡大、月間の変動率が5%以上となった月も4回あった。

活発な値動きは、それにうまく乗ることができるとリターンを高めることが可能となるため、取引の人気要素の1つ。そんな活発な値動き、高いボラティリティー(変動率)、「高ボラ」の主役の座が、今年に入ってから主要通貨においては英ポンドから豪ドルに移った形となっているわけだ。

ちなみに、2020年6月までに月間変動率差が5%以上となったのは、英ポンド/円の3回に対し、豪ドル/円は6回、豪ドル/米ドルも5回。2020年これまでのところの豪ドルは、ボラティリティーにおいて、2019年の英ポンドを上回るものになっているとさえ言えそうだ。

その豪ドル、活発な値動きに加え、一方向にしばらく動くといったシンプルな相場展開も、今年の特徴の1つだろう。豪ドル/円で見ると、今年は75円程度でスタートし、3月後半にかけて60円割れまでほぼ一本調子で下落。しかしその後は一転して75円前後までほぼ一本調子で反発した(図表参照)。

【図表】豪ドル/円の日足チャート(2020年1月~)
出所:マネックストレーダーFX

高いボラティリティーとシンプルな相場展開といったことなどが、FXにおいて豪ドル人気が高まる理由になっていると考える。