金利差などと整合的な米ドル安

「コロナショック」とされた世界的な株大暴落が一段落した後、米ドル/円は方向感のない展開が続いてきた。ただ、それは米ドル/円が特殊ということかもしれない。米ドル/円以外では、実は米ドル安トレンドの拡大が明確になってきた。

実は、多くの通貨に対して、「コロナショック」の世界的な株暴落が一段落した3月下旬から足元にかけ、米ドルは一段安となった。ちなみに、対円での同期間の米ドル最大下落率は5%弱にとどまっているが、たとえば対豪ドルでは、同20%以上となっていた(図表参照)。

【図表】豪ドル/米ドルの日足チャートの推移(2020年2月~)
出所:マネックストレーダーFX

これは米ドルが売られたこと以上に、豪ドルが買われたということなのか。ただ、まだBrexit(英国のEU離脱)でもめている英ポンドに対しても、米ドルの同期間の最大下落率は10%に達していた。また、対ユーロでの米ドルの3月下旬からの下落率も、足元にかけて最大で7%程度に拡大してきた。

コロナショック以降、米金利は大幅に低下し、量的緩和などから米ドル資金の「余剰」感も強まった。その意味では、金利差、需給の両面から、米ドル下落に違和感はない。逆に、そういった中でも米ドル/円が下げ渋る状況こそ、違和感があるかもれない。