米ドル/円のボラティリティー上昇

米ドル/円は、4月から小動きが続いてきたが、6月に入って変化の兆しが出てきた。先週の米ドル/円の最大値幅は2.47円となったが、これは3月23日週の3.95円以来の大幅だった。

3月23日週は、NYダウなどが「コロナ・ショック」とされた暴落で大底を打ったタイミングだった。そんなふうに、「コロナ・ショック」が一段落した後から、米ドル/円の週間値幅は1円前後の小幅が続いたが、それが上述のように先週は2円を大きく上回るまでに拡大した。

1日の値幅でも、拡大の兆しは確認できる。米ドル/円の1日の平均値幅は、5月は0.57円だったが、6月に入ってからは0.9円近くに拡大した(6月9日現在)。

以上のように見ると、「コロナ・ショック」一服後、米ドル/円は1週間で1円程度の値幅、1日では0.5円程度の値幅といった小動きが続いた状況が、6月に入った頃から1週間で2円以上、1日1円程度へ拡大するといった具合に、微妙に変わり始めている可能性がある。

米ドル/円の月間値幅は、5月は1月以来の2円台に縮小した。ただ、これまで見てきたことからすると、6月の月間値幅は3円を大きく上回って回復する可能性がありそうだ。そんな値幅拡大が米ドル安方向なら106円に接近する可能性があり、逆に米ドル高方向なら110円を超える可能性がある。

米ドル/円は2015年から長期三角保ち合いが続いており、その上下限が足元ではそれぞれ110円、106円程度。以上見てきたことからすると、値動きが回復してきたことで、米ドル/円はこの6月に長期保ち合いブレークを試す展開になる可能性もありそうだ。