109円台後半へ続伸した米ドル/円

先週の米ドル/円は、4月から続いてきたレンジ相場の上限、108円を抜けると、6月5日に発表された米5月雇用統計が予想より良い、「ポジティブ・サプライズ」で、株高が一段と拡大、リスクオンが広がったことに連れたとして109円台後半へ続伸しました。では、さらに円安が続き、110円を超えていくのでしょうか。

上述の文脈からすると、鍵は株高、リスクオンが続くかではないでしょうか。ただそれは、ちょっと微妙な局面に差し掛かっている可能性があるかもしれません。

米国の株価、NYダウの90日MA(移動平均線)からのかい離率は、足元でプラス10%程度まで拡大してきました(図表1参照)。2000年以降で見ると、同かい離率がプラス10%以上に拡大したことは3回程度しかありませんでした。その意味では、短期的な「上がり過ぎ」懸念がかなり強くなってきた可能性がありそうです。

【図表1】NYダウの90日MAからのかい離率(2000年~)
出所:リフィニティブ・データよりマネックス証券が作成

ところで、そのNYダウは、先週末で52週MAも上回ってきました(図表2参照)。経験的には、下落トレンドにおける一時的な反発は52週MA前後までがせいぜいとされます。以上、NYダウの90日MA、52週MAとの関係を経験則から判断するなら、一時的な反発は価格的にも、日柄的にも最終局面に入っている可能性が高いといった見方になります。

【図表2】NYダウと52週MA(2000年~)
出所:リフィニティブ・データよりマネックス証券が作成

米ドル/円は、ユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルで米ドル安が拡大する中で、例外的に先週から米ドル高・円安が広がりました。その理由は、上述のように株高、リスクオンとの理解が基本だったと思います。

ただ、その株高、リスクオンは、米国株で見ると、大きな分岐点に差し掛かっており、上述のような見方からすると、むしろ株安、リスクオフへの転換点を迎えている可能性もありそうです。

さて、ユーロ/米ドルなどと異なる例外的な米ドル高・円安が、この先も続くか、その鍵を握る株価を考えると、今週は重要な局面になる可能性があるのではないでしょうか。