対円以外で目立ってきた米ドル安
米ドル/円が6月2日、108円をブレーク、4月中旬から続いてきたレンジを上放れると、その勢いで一段高となった。ただ、対円以外、ユーロや豪ドルなどに対しては、最近にかけて米ドル一段安が広がってきた(図表1、2参照)。対円での米ドル高、対円以外での米ドル安、米ドルのトレンドはどちらが優勢になるだろうか?
【図表1】ユーロ/米ドルの日足チャート(2020年3月~)
【図表2】豪ドル/米ドルの日足チャート(2020年3月~)
3月以降、いわゆる「コロナ・ショック」を受けて、FRB(米連邦準備制度理事会)が積極的な金融緩和に動いたことなどから、米金利は大幅に低下、金利差米ドル優位は大きく縮小した(図表3参照)。ただ、その割に、最近まで「米金利低下=米ドル下落」は意外に限られた。その主因は、「コロナ・ショック」といった歴史的なリスクオフが、「キャッシュ・イズ・キング」、基軸通貨米ドル買いをもたらした影響が大きかったとされた。
【図表3】ユーロ/米ドルと米独金利差(2019年1月~)
以上の文脈からすると、最近にかけての株価反発、リスクオンにより、「有事(リスクオフ)の米ドル買い」減少したことが、上述のようなユーロや豪ドルに対する米ドル安をもたらしたということになるだろうか。そして、そうであるならば、リスクオフが再燃したら、「有事の米ドル買い」も復活、米ドル安も止まるのだろうか。
「有事の米ドル買い」要因を除くと、「コロナ・ショック」以前に比べ、金利差米ドル優位は大きく縮小したままだ。そんな金利差変化への追随という意味では、米ドル安が続く可能性はあるのではないか。