ユーロ/米ドルの120日MA攻防

ユーロ/米ドルは3月下旬から1.08~1.10ドル中心の一進一退が続いてきた。20日からそんなレンジの上限、1.10ドルをトライする展開となっているが、果たしてレンジを上抜くことはできるか。

1.10ドルは、足元で120日MA(移動平均線)が位置する水準だ(図表1参照)。経験的に、120日MAはヘッジファンドなど投機筋の売買転換点と重なることが多かった。その意味では、1,10ドルを完全に上回ってくると、投機筋のユーロ買いが一段と拡大する可能性が注目される。

【図表1】ユーロ/米ドルと120日MA(2017年~)
出所:リフィニティブ・データよりマネックス証券が作成

もっとも、CFTC統計によると、投機筋は3月に入ってからユーロ買い越しに転換し、その状況が続いている(図表2参照)。

【図表2】CFTC統計の投機筋のユーロ・ポジション(2017年~)
出所:リフィニティブ・データよりマネックス証券が作成

FRB(米連邦準備制度理事会)の金融緩和強化を受けて、米金利が劇的に低下、米独金利差米ドル優位・ユーロ劣位が急縮小したことなどに反応した可能性が考えられる。さらに一段とユーロ買い拡大に向かうかを考える上で、120日MAが位置する1.10ドルは大きな分岐点になる可能性がある。

為替市場の取引量などを考えると、対ユーロでの米ドルの方向性は米ドル全体の方向を考えるうえでも目安になりやすい。当面のトレンドが米ドル安か米ドル高か考えるうえでも、ユーロ/米ドルの1.10ドル攻防は注目されそうだ。