5月18日の米国株は全面高でした。S&P500指数はで3.15%上昇と4月6日(+7%)来の上げ幅となっています。ダウ工業株指数は3.85%の上げ、ナスダック総合指数は3.2%上昇しました。
FRBパウエル議長、景気回復に自信
5月18日の米国株高は、FRBのパウエル議長の発言がきっかけとなっています。
米国日曜日の夕方、パウエル議長は米CBS放送の「60ミニッツ」のインタビューに答える形で、「我々がやれることはやっているものの、やれることがまだいっぱいある。弾薬はまだ残っている。景気の回復については非常に自信がある」などと発言しました。これを受け、アジア時間から米国株先物は上昇しており、その後、欧州株も強く始まりました。
新型コロナウイルス治療用ワクチンの臨床試験結果、米国市場全体の株価を押し上げ
米国時間5月18日の月曜の朝に、バイオ企業のモデルナ(MRNA)が新型コロナウイルス治療用ワクチンの臨床試験で、投与した全員に抗体が確認されたとの暫定結果を発表したことで、ワクチン開発の進展が期待され同社株は1日で19%上昇し、80ドルで終わっています。臨床試験のフェーズ1が上手くいっていることに加え、フェーズ2の試験もすぐ開始され、フェーズ3については7月に始められそうであるとも発表しました。同社は引けた後にコロナウイルス治療用のワクチンの開発を継続する為13億ドル(約1391億円)の公募増資を行うと発表しました。
モデルナのポジティブなニュースは市場全体の株価を押し上げることになり、NY株は寄りから強く始まり、一日中米株市場は上昇しました。
5月18日の米国市場、テクノロジー銘柄以外の上げが目立ち、大型株以外の銘柄が幅広く買われる
5月18日の米国市場ではテクノロジー銘柄以外の上げが目立ちました。今まで市場はテクノロジー銘柄に代表されるナスダック総合指数が牽引した形になっていました。年初から5月18日までS&P500指数は、8.57%下落していますが、ナスダック総合指数は2.92%上昇しました。それが5月18日において、ナスダック総合指数は2.44%の上げに対し、S&P500の3.15%の上昇となっています。また、ラッセル2000指数は6.1%上昇し、大型株以外の銘柄が幅広く買われたことが散見されます。
加えて、今日は航空会社を含むダウ輸送株指数は7.24%上昇していることです。
2週間前のこの日は、その週末にバークシャー・ハサウェイが、保有していたデルタ、アメリカン、ユナイテッド、サウスウエスト航空の4社の株式を全て売却したとのニュースを受け、航空会社株が大きく下落しました。
今日は航空業界のファンダメンタルズの悪化が続くなか、米国運輸保安局は先週日曜日の旅行者数は3月24日来の数だったと発表しました。5月18日は、市場全体のセンチメントが良いなか、航空会社株はこのニュースに好感し、デルタ航空は14%、アラスカ航空は13.3%、アメリカン航空は9.2%、ユナイテッド航空は9.2%上がっています。
このような動きを受け、ダウ輸送株指数は7.24%上昇しました。輸送株指数には20銘柄が採用されていますが、そのうち6銘柄が航空会社株となっており、今日の上げは航空株の強さが反映されています。
航空会社の上げを受け、カーニバル(CCL:+15.2%)、ロイヤル・カリビアン(RCL:+16.7%)といったクルーズ会社株も上昇しました。
5月18日は今まで売られていたKBW銀行株指数は7.9%、フィラデルフィア石油株指数も12.5%上昇しています。
5月18日の米国のマーケットの特徴:バリュー株の上げが米国株最高値更新への可能性を示唆
総じて言いますと、5月18日の米国のマーケットの特徴は、
1)これまで市場を牽引してきたテクノロジー株がアンダーパフォームし、今まで売られていた航空会社、銀行、石油株や化学のダウ(DOW:+9.5%)、製紙のインターナショナル・ペーパー(IP:+5.6%)などの景気敏感銘柄が買われたこと、
2)今まで買われていた大型株から中型株へと市場のすそ野が広がってきたことなどがあげられます。
ダウの輸送株は、市場全体の先行指数と言われています。同指数のこれからの推移も多いに気になります。
5月18日の市場で起きた動きは、大型テクノロジー銘柄の上昇を伴わずとも、バリュー株の上げが、米国株式市場を最高値に向けて押し上げることが出来る可能性を示唆したという意味で非常に大切な1日であったと思います。
とはいうものの、5月21日には5月18日に史上最高値を更新した半導体大手のエヌビディア(NVDA)、翌日の22日には中国eコーマス最大手のアリババ(BABA)の決算発表が予定されており、大型テクノロジーセクターを押し上げる可能性も潜めています。
今晩はダウ採用銘柄の世界最大のホームセンターのホーム・デポ(HD)が、翌日の20日には私の好きな同じくホームセンター業界第2位のローズ(LOW)の決算発表が行われる予定になっていますが、これらの決算発表やガイダンスは米国経済のヘルスチェックとして有効ではないかと思います。