2011年2月、中国鉄道部の劉志軍部長は汚職疑惑で解任されました。そして、新しく就任した盛光祖部長が、これまでの高速鉄道の急激な発展方針を変更するのではと懸念されています。そして2011年5月4日、中国鉄道部は2011年第1四半期の主要運営データを発表。このうち、純利益は37.6億元の赤字でした。2007年から中国鉄道部は急ピッチで高速鉄道の建設投資を拡大してきた一方で、これが利益を出せず、赤字につながっていると指摘されています。

現在、鉄道部の負債額は2兆元に近づいており、負債率が58.2%になっています。これらのことから、これから高速鉄道への投資が縮小される可能性があり、鉄道部は2011年の投資資金を2000億元以上削減するのではないか?との噂も出ています。

それに対し、中国鉄道部は赤字の主な原因はディーゼル油、鋼材、部品、補修材料などの原材料価格上昇だと指摘しています。今後に関しては、中国経済の発展に伴って、高速鉄道の乗客数が増加すれば、今後数年間で黒字転換できるとしています。そして、投資計画については、鉄道部の5月6日の発表によると、2011年の投資規模は7455億元。そのうち、インフラ建設投資の規模は6000億元で、年初に計画した7000億元より1000億元減となっています。

しかし、一方で設備投資の金額は変わらないとしています。鉄道部は6000億元のインフラ建設投資は依然として莫大な金額だと指摘。そのうえで、投資金額の減少はプロジェクトの削減ではなく、着工期間が来年以降に調整されたプロジェクトがあることによるものだと説明。さらに、一部のアナリストが予想している建設中の高速鉄道プロジェクトが中止になることもないとしています。

巨額の投資が期待され、2010年に株価が良いパフォーマンスとなっていた高速鉄道関連銘柄ですが、冒頭に記載した、高速鉄道への投資金額が減少するのではないかという懸念によって2011年2月からは全体的に調整をしています。

しかし、今回の鉄道部による発表では、投資の縮小を正式コメントとして発表していますが、市場が予測した縮小幅を下回っていますし、建設中の高速鉄道プロジェクトが中止されないとのことですから、その懸念で調整していた高速鉄道関連の銘柄は見直される可能性があります。

高速鉄道関連の銘柄には、車両製造大手の中国南車(01766)、中国南車の関連会社である南車時代電気(03898)、鉄道建設を多数手がける中国のゼネコン大手の中国中鉄(00390)、中国鉄建(01186)、中国交通建設(01800)などがあります。