サン電子(6736)経営陣とオアシスの対決は2020年4月8日の臨時株主総会に持ち込まれました。この株主総会では会社提案が否決され、株主提案がいずれも可決されるなど、アクティビストであるオアシス側の勝利に終わりました。これを好感して、4月7日の終値が1,401円だったサン電子株は4月20日には高値1,895円まで値上がりしています。
オアシスは総会以降、大量保有報告を複数回提出しています。執筆時点で最新の4月20日提出のものによれば14.77%までサン電子株を買い増しており、サン電子の経営に関与していく姿勢を明確にしています。
オアシスの経営関与がサン電子の経営を改善するのか、明らかになるのはこれからです。一方、臨時株主総会後の株式市場の反応も、臨時株主総会でも株主の声もオアシスに期待するものであったといえるでしょう。アクティビストと経営陣の対立した株主総会でアクティビストが勝利することはまだ少数です。今回のオアシスの勝因は何だったといえるでしょうか。
1つはオアシスがもともと10%近い株数を持ち、かつ株主の説得をうまく行えたことにあるでしょう。読者の方も、オアシスが株式関係のサイトにサン電子についてのバナー広告を出しているのを見たかも知れません。ピカピカの成長事業を持ち、一方で苦境の事業を抱える会社を改革するというのはわかりやすいストーリーのように思います。
実際、サン電子は4月17日に早くもパチンコ関連の事業を本体から切り離す発表を行いました。また、サン電子は筆頭株主の東海エンジニアリングが18.8%の株を握っており、筆頭株主となっています。今回はその筆頭株主もオアシス側についたと思われます。オアシスがどのように筆頭株主に接触し、説得したか注目されるところです。
もう1つは、オアシスの主張にもあるようにサン電子自体が連続で赤字を計上していた点です。投資信託や年金基金などの運用機関は、議決権の行使方針を機械的に行うこともめずらしくありません。一定期間赤字が続いていることやROEの水準などで、その時点の取締役の再任には反対すると決めていることも多いのです。事実、サン電子の役員再任の賛成率は2018年の総会から2019年の総会で大きく下がっています。2018年の総会で90%を下回る役員はいなかったのが、翌年の2019年を見ると50%台の役員が少なくないのです。サン電子自体の業績がこの結果を招いたともいえます。
今回のサン電子の臨時株主総会は、オアシスが経営に関与していく姿勢を鮮明にしていることからもアクティビストと会社の関係が変わっていく大きなきっかけになりそうです。オアシスが保有している分があるにしても、臨時株主総会の結果はオアシス以外の多くの株主がオアシスに賛同したということに他なりません。そうした意味では業績が低迷していて、経営陣の求心力が衰えてきている会社にアクティビストが投資・経営関与することで、会社の改善が進むことが今後も発生しそうです。
サン電子で見られたような取締役の再任賛成率に注目するのもよいかもしれません。