米国株の戻りが鮮烈である。特にナスダックの強さが際立つ。ナスダック総合は年初来リターンがマイナス3.6%になった。もうすぐ年初来プラスに浮上するだろう。高値からの下げ幅に対しては61.8%を戻した。
この61.8%はフィボナッチ・リトレースメントの重要な節目である。ナスダック総合はほかにも75日線や一目均衡表の雲などテクニカルの節目を迎えている。
ここを一気に抜けるようだと、全値戻しも見えてくるだろう。ナスダック100はすでにこの節目を抜けている。ナスダック100はほぼ年初の水準を回復している。つまりナスダック100に関して言えば、「コロナショックは乗り越えた」レベルにあるということだ。
テスラ、ギリアド、アマゾン、ネットフリックス、エヌビディア、ADMなどがナスダック100をけん引する構図だ。米国ハイテク株→ナスダック→米国株全体→世界株という波及効果に期待したい。
その意味で今週は半導体関連の決算が注目される。先週発表されたオランダのASMLホールディングスと台湾の台湾積体電路製造(TSMC)の決算が良好で、東京エレクやアドバンテスト、韓国のサムスン電子など半導体関連株の上昇が目立った。今週は米国でインテル、日本ではディスコ、アドバンテストの決算発表がある。そのほかの注目はなんといっても米国のテスラとアマゾンの決算(ともに24日)。日本では23日のオービックの決算発表に注目。
ニューヨーク州内で新型コロナウイルスに感染して死亡した人が17日は540人で、ここ2週間では死者の数が最も少なくなったと伝わった。クオモ知事は、「感染のピークを過ぎたあとは横ばいの状態にあったが、そこから減少に転じてきていていいニュースと言える」と述べた。こうしたニュースが徐々に相場のセンチメントを改善させていくだろう。
先週も注目と述べた新規失業保険申請件数は、まだ多いとは言え、先週から減少した。ピークアウトが明確だ。雇用減少はかつてないほど急激だったが、短期間で最悪期を過ぎるだろう。今週は450万件との予想。
市場は順調に戻り相場をたどっているが、ハイイールドのスプレッドとVIXはピークアウトしたとは言え、低下が鈍い。
まだまだ市場は株価の波乱リスクと信用リスクに対する警戒が根強いことの表れだが、だからこそまだ戻り相場は続くと言える。「相場は不安の崖をよじ登る」ものだからである。
今週の予想レンジは1万9500円‐2万300円。日経平均は2万円の大台回復もあるだろう。