4月に香港に企業視察に行ってきました。その中で太陽光発電関連企業にも訪問したので、そのことについてお伝えしたいと思います。ちなみに、海外に行くと、原発事故が重く受け止められていることがわかります。たとえば、ある国では入国時に日本からの旅客には放射線のチェックをしていました。また、原発事故の影響から海外航空会社のフライトスケジュールは結構変更があって、思わぬ足止めを食ったりします。
3月にベトナムに行ったときは、帰りのフライトが12時間遅れとなって、一泊を経由地で過ごさなくてはいけなくなりました。その飛行機の遅れの理由を代理店の方に聞いてみると、日本での飛行機の滞在時間を減らすためとか、機内食を日本で補充することを避けるため、フライトスケジュールが大きく乱れていることが理由と聞きました。もっとも経由地での一泊に関しては、航空会社がホテルを用意してくれたので(夕食もついていたので)、快適に過ごせたので問題はありませんでしたが。ちなみに、最近、海外旅行の保険は、出発の数日前に加入しないと飛行機遅延の保険がつかないところも多いようで、私も今回はギリギリで加入してしまったために遅延の保険はつかなくて、早めに入っていればと後悔しました。まぁ、何事も良い経験です。
さて、少し話しが脱線しましたが、このように海外でも重く受け止められている原発事故の影響で、代替エネルギーに注目が集まっています。代替エネルギーの中の1つ、太陽光発電も、なかなか面白いセクターだと思います。太陽光発電は欧州で主に盛んです。世界の太陽光発電設備の需要を見てみると、2010年ベースで、ドイツ42%、イタリア21%、それ以外の欧州18%、米国5%、日本5%、その他9%となっています。
どうして欧州の需要か極端に大きいかというと、欧州では伝統的に電気代が高く、政府から補助金が出ているからです。たとえば、今回の訪問先企業で聞いた話では、ドイツを例にあげると、1kwhあたりの電気料金が0.23ユーロだそうですが、太陽光発電を導入したら1kwhあたり0.06ユーロの補助金が出ます。したがっておおよそ6~7年で太陽光設備代金が回収でき、その一方で設備自体は25年程度利用できるので、設置の促進が進んでいるということです。
もっとも現在、太陽光発電の補助金に関する見直しを欧州各国は検討しています。しかし、補助金が多少引き下げられても、結局、電気料金が高い水準にある以上、太陽光発電の需要は変わらないと思います。現在の発電の大きな部分を占める火力発電は燃料価格の上昇が続いているため電気料金は継続的に上昇すると思われる一方で、太陽光の設備コストは下がっていく方向にあるからです。ちなみに中国も今回の日本の原発事故後、2015年までの太陽光発電の発電容量目標を5GWから3倍の15GWに引き上げています。
太陽光発電関連企業に投資する際はポリシリコンウェハー生産企業ではなく、ポリシリコン自体を生産している企業が良いと思います。ポリシリコンウェハーの方は競合が激しく利益率が限られています。しかし、ポリシリコンの方は比較的競合が少なく、結果として利益率が高いからです。ポリシリコンは金属のようなもので、ポリシリコンのインゴット(見た目は立方体のアルミのような感じ)を薄くスライスしたものがポリシリコンウェハーで、これが太陽光を受ける部分の重要部品となります。そして、ポリシリコン生産企業の中でも、やはり大手企業が良いと思います。ポリシリコンも他の製品同様、世界的な集約が進んでおり、今後はコストで勝負出来ないと、世界の競合企業のなかで打ち勝っていけないからです。