東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は173円安の1万6552円と続落しました。その他指数では東証2部指数が4.5%安、マザーズ指数も4.9%安と大きく下落したほか、東証REIT指数が一時約7年2か月ぶりの安値をつけて終値でも18.5%下落しました。東証REIT指数の1日の下落率はリーマン・ショック後よりも大きく史上最大となりました。一方でTOPIXやJPX日経400は約1%上昇しました。取引開始前に欧州中央銀行(ECB)が量的緩和策の拡大を発表したことを受けて、日経平均は269円高の1万6995円と反発して寄り付きました。まもなく434円高まで上昇した日経平均でしたが、その後は急速に上げ幅を縮めて下落に転じると124円安の1万6602円で前場を終えました。
後場に入ると一時368円安まで下げ幅を広げた日経平均は、その後じりじりと下げ幅を縮めて結局173円安の1万6552円で取引を終えました。東証1部の売買代金は4兆6853億円と3日連続で4兆円を上回りました。東証33業種は陸運業や空運業、小売業などの20業種が上昇した一方で、その他金融業や鉱業、ガラス土石製品などの13業種が下落しました。
2.個別銘柄等
東証1部の売買代金上位銘柄は高安まちまちとなりました。売買代金トップのソフトバンクグループ(9984)が17.2%下落したほか、ソニー(6758)やファーストリテイリング(9983)、富士フイルムホールディングス(4901)、キーエンス(6861)、三菱UFJフィナンシャル・グループ (8306)が下落しました。中でもソフトバンクグループは1銘柄で日経平均を120円押し下げています。一方でトヨタ自動車(7203)や任天堂(7974)、KDDI(9433)、NTTドコモ(9437)は上昇しました。NTTドコモは一時約17年9か月ぶりの高値をつけて終値でも8.8%上昇しました。18日に発表した次世代通信規格「5G」の料金プランについて、価格をソフトバンクグループとほぼ同水準としたうえで通信データの上限を当面は無制限としたことを受けて、競争力のあるプラン設定を好感した買いが入りました。
その他材料が出たところでは、日本電産(6594)が10%下落しました。新型肺炎の感染拡大を受けて日米の自動車メーカーが相次いで北米工場の操業休止を発表しており、業績の先行きが懸念されて売られました。また良品計画(7453)は中国子会社との取引について東京国税局より約70億円の申告漏れを指摘されたと報じられたことや、新型肺炎の感染拡大を受けて米国内の「無印良品」全19店舗の一時休業を決定し、欧米に展開する店舗の約7割が休業となると報じられたことを受けて7.8%下落しました。
VIEW POINT: 明日への視点
昨日と同様日経平均は下落したもののTOPIXは上昇とまちまちの1日でした。非常に気になるのがソフトバンクグループや東証REIT指数の値動きです。ソフトバンクグループは本日17.2%安、昨日が10.9%安と大きく売られています。東証REIT指数の1日の下げもリーマン・ショック後よりも大きなものとなりました。マーケットが非常にリスク回避姿勢を強めていることは明らかで、引き続き一段安への警戒感を強く持ちたいところです。
(マネックス証券 マーケット・アナリスト 益嶋 裕)