◆中学生の娘がふくれ面をしている。新型ウイルスで学校が今日から休校になり、今週予定されていた期末テストもなくなった。このまま春休みに突入だ。勉強が嫌いな娘のことだから、さぞや大喜びしているのだろうと思ったが、そうでもないらしい。「期末がないから、中間テストとこれまでの小テストや授業態度で成績表つけるって。私、それら最悪だから期末で挽回しようと今回は珍しく勉強したんだよ。それなのにテストがなくなっちゃうなんて!」

◆全国各地で様々なイベントやコンサート、スポーツの試合、大会などの中止が相次いでいる。初めから中止ならどうしようもないが、困るのは途中までやってそこまでの成績で順位が決まるものだ。ゴルフなどではよくある。例えば昨年10月の男子プロゴルフのブリヂストン・オープン。台風19号の影響で3日目と最終日が中止となり、36ホールに短縮された。後半に巻き返しを期していた選手はさぞ残念だっただろう。

◆今日だめでも明日があるから頑張れる。缶コーヒーのCMソングで元気をもらった人もいるだろう。古くは映画『風と共に去りぬ』。ヴィヴィアン・リー扮するスカーレット・オハラの名台詞 "Tomorrow is another day"(明日は明日の風が吹く)。確かに「明日」には希望がある。しかし、その「明日」が来ない場合もあるのだ。多くの人々の「明日」が唐突に奪われてしまった、あの大災害からあと10日足らずで9年が経つ。

◆今日という日に全力投球しよう。Tomorrow never comes. 明日はないかもしれないのだ。今回のコロナウイルスは典型的な「ブラックスワン」だが、「想定外」は頻繁に起きる。その「想定外」に対処する一番の方法は、「想定外」のことが起きる前に最善を尽くすこと。つまり今を全力で生きることだ。

◆「でも、試験も授業もなくなって長い春休み、本当はラッキーって思ってるだろ?」「全然ラッキーじゃないよ。休みって言ったって外出自粛だよ。遊びにいけないし。楽しみにしてたアイドルのイベントも全部中止。これじゃ家にいて勉強する以外やることないじゃん!」娘のふくれ面の理由は結局そこであったか。