欧州では、製紙原材料価格の上昇で、製紙会社は紙製品の価格を引き上げています。欧州大手製紙会社のSAPPIは3月からコート紙の価格を8%、コート紙以外の紙製品を6~8%値上げすると発表しました。フィンランド大手の製紙会社であるM-real社も3月14日からコート紙価格を6~8%引上げると発表しています。これと同じように中国の製紙会社も紙製品の値上げをしています。2月22日、製紙大手の晨鳴紙業(01812)は紙製品(コート紙を除く)の出荷価格を100~200元/トン引上げると発表しました。晨鳴紙業によると、もし値上げ後の販売状況が良ければ、3月にも追加値上げをする可能性があるとのこと。ただし、4~5月に、晨鳴紙業は80万トンのコート紙の生産ラインを稼働させる予定があり、販売量の拡大を保つため、コート紙の値上げをしていないのです。中国最大の包装紙生産会社である玖龍紙業(02689)も原材料の価格上昇を理由として、主要製品である包装紙の価格を200元/トン引上げると発表。調整後の包装紙の価格は約4000元/トンで値上げ幅は5%を超えています。その一方で、製紙原材料価格の上昇幅は3~5%です。

晨鳴紙業が1月24日に発表した2010年決算によると、販売量の拡大と販売価格の上昇で、2010年の売上は前年同期比15.5%増の172億元で、純利益は同38.6%増の11.6億元です。玖龍紙業は2011年2月23日に2010年7月~12月の上半期決算(同社は6月が本決算のため)を発表。売上は前年同期比45%増の126.2億元、純利益は同22.2%増の10.4億元です。原材料である、くず紙が2010年7~8月に大幅に値上がりしたことで、玖龍紙業の粗利益率は3.1ポイント減の18%まで下がっていますが、2011年1~6月には、原材料価格が安定する見込みのほか、紙製品を値上げすることによって、玖龍紙業は粗利益率18%~20%を維持できると予測しています。つまり製紙関連企業は原材料価格の上昇に苦しむ一方で、中国での需要拡大を背景に、大手製紙会社は製品のそれ以上の値上げを実施し、売上と利益は逆に拡大する可能性もあります。この2社のケースは参考例ですが、中国の製紙会社は同様の傾向があると考えられます。香港市場に上場しているその他の製紙関連銘柄には理文造紙(02314)、鴻興印刷集団(00450)、華僑城(03366)などがあります。またトイレタリー製品中国最大手の恒安国際(01044)なども同様でしょう。