2010年11月30日、中国国家発展改革委員会は再び12月12日より一部薬品の小売価格上限を平均19%引き下げると発表しました。しかし、同発表は国内の製薬会社への影響は限定的であったため、医薬株は一日の調整をしてからすぐに回復していました。ところが、2010年12月には、発改委は307種の国家基礎薬品に対し、平均40%値下げする計画があるとの噂が伝えられていました。次なる値下策の発表が懸念され、医薬株の調整が続くと予想されます。

2011年初来、新興国株価は物価上昇による引締め懸念で調整にあり、中国、香港株も下がっています。香港ハンセン指数に連動するETF価格は約3%下がっていますが、前述の要因から、それ以上に下がっている医薬株が大変多くなっています。年初来で指数を上回っている主な製薬銘柄は中国製薬(1093)、長江生命科技(775)などほんの一部のみとなっており、その他大半の医薬株は指数を下回っています。しかし思い出してみると、2010年春は医薬株が一斉に大きく上昇して業種別で最も良く騰がったものでした。つまり、業種、個別銘柄にしても、現在の製薬株の調整は騰がったものが調整するというサイクルの中の一環と言えると思います。長期的な上昇テーマの中で、このような悪材料がある時に調整をこなしながら、うねるように上昇をしていくのが医薬セクターだと見ております。

医薬セクターに関する長期的な見通しは、株価絶好調だった昨年春も今も何一つ変わりません。それは途中で起こる薬価引き下げや原料高といった短期的な材料に左右されない大きな、長期的な流れであります。2010年1月~11月、産業全体の売上は前年同期比28%増の1兆元、利益総額は同30%増の1050億元です。先進国の医薬業の年間成長率は5%~10%ですが、中国は数年連続で20%以上の成長を維持しており、成長率は世界平均水準の約2倍です。大手国際研究機関であるIMSは、今後5年間の中国薬品産業は20%以上の成長スピードを続けられると予測しています。

中国では今後20年かけて60歳以上の人口層が爆発的に増えていくと考えられます。現在、中国の医療支出の殆どはこの60歳超の人口層、とりわけ都市部の60歳超人口によって払われています。今後の、中国の年齢別人口分布の上方シフトは、確実な事がない株式市場の中でも確実に起きるのでは、と言われている事であり、都市化、所得増加の波も来るだろうと考えられます。従って中国のヘルスケア市場は段階的に、爆発的に増加していく可能性は高いと思われます。そして中国ではまだ売上高が数億から数十億、多くても数百億円という製薬会社が4,000社もある状態です。一方、日米欧もかつては同様でしたが、次第に数千億~数兆円という大製薬企業に集約されてきました。市場が成長し、いくつかの勝ち組企業に集約されていく過程で、大きく調整しており、技術力、設備力、資本力のある製薬企業には注目できます。

※リスク・手数料等に関しては、「 リスクおよび手数料等の説明 」を ご覧ください。

----------------------------------- ■【中国レポート 2月号】ポイントは本土株の動向!?

株式会社サーチナ顧問の田代氏が語る「今後の香港株の見通しについてのポイントは本土株の動向」  → https://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new2011/news1102n.htm