2月8日夜、中国人民銀行(中央銀行)は2011年の初めての利上げを発表しました。2010年10月19日と12月25日に2回利上げが行われましたが、インフレ率が預金金利を上回るマイナス金利の状況は変わっていません。その一方で、2011年以来、世界的な気候異常で農産物価格は上昇しており、中国国内の物価高の現状が改善されず、インフレ予想が一層高まっています。今回の利上げは、このようなインフレ抑制を狙う背景があります。ところで利上げは株式市場にとって、もちろんマイナスですが、プラスに影響する銘柄もあります。たとえば銀行株です。今回の利上げの利上げ幅は、期間によって異なります。たとえば、預金金利は、普通預金は0.04%の引き上げですが、1年預金は0.25%、5年ですと0.45%の引き上げとなります。一方、貸出金利は1年の貸出金利は0.25%の引き上げですが、5年超の貸出金利は0.20%です。このように考えると、もちろんそれぞれの銀行で影響は異なりますが、預金の半分程度を占めると見られる普通預金の金利上昇幅よりも貸出金利の上昇幅が大きいため、利ざや拡大効果が出て収益にプラスの影響が出ます。このように、利上げは株式市場に基本的にはマイナスですが、恩恵を受ける銘柄も出てくるわけです。

また、中国の金融引き締めや米国への資金流出によって香港株は下落が続いていますが、中国国内の景気は堅調な状況が続いています。中国では、2月2日(旧正月大晦日)から2月8日(旧正月6日目)までは、2011年の旧正月(春節)の大型連休でした。中国商務部のデータによると、同期間の中国における主要小売企業の販売総額は前年同期比19%増の4,045億元となっており、ここ8年間で最高の伸び率を記録しています。ちなみに、地域別の消費状況を見ると、陝西、四川の小売額はそれぞれ23%と21.5%拡大しました。天津、黒龍江、遼寧、山西、甘粛、湖南などの小売額は約20%成長。逆に一級都市である上海、北京の小売額成長率は11.5%と15%であり、全国の平均水準を下回っており、伸び率ベースで見ると2~3級都市の躍進が目立ちます。製品別を見ると、宝飾品や家電製品が人気です。1,000社以上の主要小売企業による金・宝飾品の販売総額は前年同期比37.6%拡大。他方、北京の家電量販店の売上は前年同期比約50%拡大しています。そのほか、春節連休の間、食品、飲み物、タバコ・お酒の販売額は前年同期比で約20%伸びています。

今回の利上げではインフレ抑制に充分ではないため、2011年には利上げが数回実施されると予測されます。このように景気が良い時期であっても金利が上昇する時期は思うように株価が上昇しにくいのです。これは2004~2005年と同じような状況だと思います。今回は先進国が金融引き締めに動いておらず、いまだに金融緩和を続けているため、そちらに資金が流出し、株価が下落しているわけです。特に米国はFRBの量的緩和第2弾とともに打ち出された、オバマ減税法案の中で、2011年度の設備投資に対する一括償却を容認する、というところが大きく効いており、少なくとも上半期の間は経済・株価ともに上昇傾向が続く可能性が高いと思います。反面、中国は金融引き締めが警戒されて、米国への資金流出はもう少し続くと思います。しかし、中国の国内景気は良いままですので、いずれ米国株が高くなれば、中国株に資金が戻ってくると思います。このように考えると現在は中国株の仕込み時と考えることが出来ます。