米ドル/円の「FOMCサイクル」

米ドル/円は、3月以降、FOMC(米連邦公開市場委員会)前までは上昇傾向が続くが、FOMC後は反落するパターンを繰り返してきた(図表1参照)。そんなパターンが、12月FOMCにおいては変化している可能性がある。今回の米ドル/円は、FOMC前から反落となっている。

【図表1】過去1年の米ドル/円日足チャート(2018年12月~2019年12月)
出所:マネックス証券チャート

FOMC前の米ドル/円上昇(円安)、FOMC後の米ドル/円下落(円高)といったパターンが続いたのは、株の影響が大きかったのではないか。株価は、基本的にFOMC前の株高、FOMC後の株安が繰り返されてきた。

このように、FOMC前の株高・円安、FOMC後の株安・円高が3月以降続いたのは、1月の株とFRBの関係が影響したのではないか。1月に、米国株はFRB関係者やFOMCを材料に、それまでの急落から上昇へ急転換となった。

この影響により、FOMC前は期待から株高・円安のリスクオンとなり、FOMC後にその反動で株安・円高へ転換するパターンが続いたということではないか。

ただ、12月FOMCを前にして、米国株は反落、米ドル/円も反落となっている。今回、「FOMC前の株高・円安」となっていないのは、さすがにこのパターンも長く続き、変わってきたということではないか。今回のFOMCに利下げなど、株高になる期待はほとんどなく、それより12月15日が期限の対中制裁関税発動への警戒感の影響が大きいということではないか。

FOMC前の株高・円安パターンが崩れたら、FOMC後は一段と株安・円高に向かうかといえば、それもどうだろうか。注目イベントであるFOMCは、事前に一方向に動くものの、イベント終了後にその反動が入る結果、相場の転換点になりやすいという要素もある。その意味では、むしろこれまでと逆に、「FOMC後の株高・円安」になる可能性も注目してみたい。