リスクオフ・オンは米景気の影響が大きい
定評の高いGDP予測モデルであるアトランタ連銀のGDPナウは6日、米第4四半期成長率を2%に上方修正した。11月中旬には0.4%といった具合に、一時は、「ゼロ成長」近くまで減速するとの予想だったところ、最近にかけて急ピッチで、上方修正してきたわけだ。
四半期成長率2%を1つの境目にすると、上述のように、足元はトランプ政権が2017年から展開する中で初めて、景気減速が深刻化に向かう可能性があるといった見方になっていたところ、この1~2週間で、そんな見方の大幅な修正が進んだ形となった。
2019年1月のトランプ政権誕生以来、2017年第2四半期以降、米四半期成長率は2%を上回る状況が続いてきた。主要な米国株価指数が軒並み最高値を更新するといった具合に、株高傾向が続いてきたのはそんなふうに景気回復が続いた影響が大きかっただろう。
そんな「景気回復=株高」の流れが、この2019年第4四半期でついに途切れる可能性が注目されていたが、さらに続く見通しとなってきた。それをもたらしたのは、FRBによる7-10月の「保険的利下げ」の影響が大きかったのではないか。
12月15日は、米国による第4次対中制裁関税発動の期限となっており、もしも発動となった場合、米景気への影響も深刻なものになるとの懸念は強い。ただ経験的には、米四半期成長率が2%以上といった具合に景気回復が続く中では、何か「きっかけ」があっても、株安・円高などリスクオフ拡大は限定的にとどまる可能性が高かった。
以上のように見ると、株安・円高が広がるかは、米中交渉以上に、2%超の米経済成長が続くかが重要な意味を持つことになるのではないか。