中国では、中央政府が毎年年初に打出す一番目の政策は「一号文書」と言われます。一号文書が触れる分野はこの一年中に政府が最も重視する産業分野だとよく思われます。2011年の一号文書は水利事業に焦点を合わせたものでした。2011年1月29日、2011年の一号文書、「中国共産党中央国務院が水利改革発展を加速する決定」が発表されました。この文書では、今後、農業用地での地水利施設への建設投資を拡大する内容が記載されています。例えば、中央及び地方政府は水資源インフラプロジェクトを大幅に増加し、毎年の土地譲渡金の中から10%を拠出し、水利事業金として備蓄する、としています。そして、水利建設に金融からの支援を与え、関連プロジェクトへの中長期貸付を促進する方針です。

総合的な投資額は、今後10年間の年間投資額の平均を2010年の倍にする方針です。2010年の中国の水資源インフラプロジェクト投資額は2000億元ですので、今後の年間投資額は4000億元になります。つまり、今後10年間で中国の水資源インフラプロジェクト投資額は4兆元になります。中国の改革開放が実施されてからの30数年間、農地用水資源インフラプロジェクトへの投資額はきわめて不足している状況で、長年放置されてきました。例えば、中国の70%以上の村落には農地用水資源インフラプロジェクトへの投資はありません。国家レベルの農地水利投資を取得できる村落は全体の9.6%しか占めていません。そして、中国の1.2億ヘクタールの耕地のうち、55%の農業生産は完全に天候状況に依存しているのです。農地用水資源インフラの不足による中国の糧食損失は毎年500億キログラムの見積もりです。この状況の深刻化を防止するため、中国政府は水資源インフラプロジェクトの発展に重点を置くことにしたわけです。

一号文書には、水資源インフラプロジェクトへの投資拡大のほか、水資源管理制度の強化、水価格改革の推進などの内容も含められています。これらの政策方針によって、関連の水事業を手がける会社は利益を受ける可能性があります。香港上場の関連銘柄を見ると、節水機材の開発生産を手がける天業節水(0840)、供水また汚水処理を手がける中国水業(1129)、中国水務(0855)、光大国際(0257)、北控水務(0371)、創業環保(1065)、 桑徳国際(0967)、東江環保(0895)、 泛亜環保(0556)などがあります。