2005年以降のトルコリラ/円の循環的な安値は、日本とトルコの消費者物価、または生産者物価で計算した購買力平価を大きく割れなかった(図表1参照)。
【図表1】トルコリラ/円と購買力平価 (2005~2019年)
ところが、2018年のトルコリラ暴落局面では、生産者物価で計算した購買力平価からのかい離率がマイナス30%程度にも急拡大した(図表2参照)。この観点で見ても、2018年のトルコリラ暴落は、これまでになかったほどの購買力平価を大きく下回る動きだったという意味で、「異常な下落」といえるだろう。
【図表2】トルコリラ/円の購買力平価からのかい離率(2005~2019年)
2005年以降の経験では、トルコリラ/円が購買力平価を割り込む動きは一時的であり、上述の2018年のケースを除くとせいぜい1割程度だった。その購買力平価は、足元では21/円程度。これが2020年には仮に19/円程度まで下落するとして、それを1割下回っても17/円程度といった計算になる。
これは、あくまで月末終値で見たものだけに、月中のザラ場などでは15~16円台へ下落する局面があってもおかしくないだろう。ただ、前回のレポートで書いたように、90日MA(移動平均線)との関係だけでなく、この購買力平価との関係でみても、2018年にかけて展開したトルコリラ下落は「異常」といえるもので、それが2019年のトルコリラ下げ渋りの主因であり、それは2020年も基本的に続く可能性が高いと私は考えている。