先週の小欄では、「一本調子の上昇で過熱感も意識される。調整を入れる方が好ましい」と述べたが、その通りの展開となった。先週の日経平均は前週比88円安と小幅ながら6週間ぶりの下落となった。
香港情勢の一段の緊迫化、米中貿易協議進展具合の不透明感から軟調になる場面があったものの下値は限定的だった。海外投資家の旺盛な買い意欲が相場を支えたものと思われる。東証が発表した11月第1週の投資部門別売買動向によると、海外投資家が6週連続で買い越した。海外投資家は現物と先物の合算でも5週連続の買い越しである。
自社株買とみられる事業法人の買いも6週連続で買い越しだった。一方、個人投資家は5週連続で売り越している。上昇相場に売り向かう典型的な個人の逆張りだが、それらはずっと踏まされているということだ。相場が底堅いのは、そうした空売りの買い戻しが入るからということもあるだろう。
今週は決算発表もほぼ一巡し、経済指標の発表も主立ったものがない。注目は週央にあるFOMC議事録の公表くらいだが、それにしても相場の材料にはならないだろう。FRBによる利下げは一旦休止と市場は冷静に受け止めているし、先週はパウエルFRB議長による下院予算委員会での発言もあった。金融政策絡みの新しい話は当分出てこないだろう。
先週金曜日のNY株式市場でダウ平均は初めて2万8000ドルの大台に乗せ、最高値を更新した。米中合意間近との見方が強まったことから市場のセンチメントが強気に傾いた。週明けの東京市場もこの流れを受けて日経平均は2万3000円台半ばへ上昇して始まりそうだ。その後は米中協議の進展次第。市場は楽観ムードだが、逆もあるので注意したい。香港情勢も依然リスク要因として警戒が解けない。
今週の予想レンジは2万3000円~2万3700円とする。