【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 26788.10 ▼39.54 (10/22)
NASDAQ: 8104.30 ▼58.69 (10/22)
1.概況
21日の米国市場は10月に開いた米中貿易協議について中国の劉鶴副首相が多くの分野で重要な進展があったと述べたと伝わったことから米中対立への懸念がやや後退し反発しました。82ドル高でスタートしたダウ平均は朝方こそ小幅に下げる場面もありましたが、22ドル安で下げ渋ると買いが優勢となり午後は小幅高ながら堅調な推移が続きました。結局ダウ平均は57ドル高の26,827ドルで取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も73ポイント高の8,162ポイントとなりました。
昨日の米国市場は英国のEU離脱を巡る不透明感やトラベラーズ(TRV)やマクドナルド(MCD)の大幅な下げが重石となり反落となりました。22ドル高でスタートしたダウ平均は朝方に小幅に下げる場面もありましたが、下げ渋ると買いが優勢となり上げ幅を広げ取引終盤には119ドル高まで買われました。しかし、英下院がEU離脱協定関連法案を早期に成立させるための議事進行動議を否決したことが嫌気され引けにかけて急速に上げ幅を縮めると下落に転じ結局39ドル安の26,788ドルで取引を終えています。また、ナスダック総合株価指数も58ポイント安の8,104ポイントとなっています。
2.経済指標等
昨日発表の9月の米中古住宅販売件数は年率換算で前月比2.2%減の538万戸となり市場予想を下回りました。
3.業種別動向
21日の業種別S&P500株価指数は全11業種のうち9業種が上げ、エネルギーが2%近く上昇したほか、金融と情報技術も1%以上上げました。一方で素材とヘルスケアの2業種が下げています。
昨日の業種別S&P500株価指数は全11業種のうち情報技術やコミュニケーション・サービス、一般消費財・サービスなどの6業種が下げ、情報技術は1%を超える下落となりました。一方でエネルギーや資本財・サービス、公益事業などの5業種が上げ、エネルギーは1%以上上昇しています。
4.個別銘柄動向
21日の米国市場ではアップル(AAPL)が目標株価の引き上げを受けて2%近く上げ上場来高値を更新しました。また、決算の説明会で経営陣がコスト削減を続ける姿勢を示したことを好感して資源開発大手のハリバートン(HAL)が6%以上上げました。一方でボーイング(BA)が4%近くさげました。737MAXの墜落事故に関してボーイングが2016年時点で欠陥を認識していた問題で米議会が経営陣を厳しく調査すると伝わったことで737MAXの運航再開が先延ばしになるとの懸念が出て売られました。
昨日の米国市場ではトラベラーズが決算で1株利益が市場予想を下回ったことで8%以上下げダウ平均構成銘柄で下落率トップとなりました。また、マクドナルドも決算で売上高と1株利益が市場予想を下回ったことで5%安となりました。トラベラーズとマクドナルドの2銘柄でダウ平均を150ドル以上押し下げています。一方でプロクター・アンド・ギャンブル(PG)が決算で売上高や1株利益が市場予想を上回ったうえ、通期の売上高見通しを上方修正したことから2%を超える上昇となり、ダウ平均構成銘柄で上昇率トップとなりました。ユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)も決算が市場予想を上回ったことで2%以上上げています。
5.為替・金利等
21日の長期金利は0.05%高い1.80%となりました。昨日の長期金利は0.04%低い1.76%となりました。ドル円は108円台半ば近辺で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
米国市場が21日と昨日の2日間トータルでみると小幅ながら上昇となっていることから本日の日本市場は堅調なスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は連日での年初来高値更新となりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)