香港証券取引所(HKEX)が、ロンドン証券取引所グループ(LSEG)を丸ごと買収する提案をしたとのこと。その額、約4兆円です。これは中々面白い見物(みもの)です。

最初に直感で感じたのは、子泣き爺い作戦か、と。香港の中国化、或いは今香港で起きている混乱の中で、HKEXの存在感が、それは即ち国際金融都市としての香港が地盤沈下していくのを防ぐために、敢えて大きく背伸びした賭け、或いは少なくともそのようなファイティングポーズを取り、世界に対して香港を忘れるな、と云おうとしたように見えます。GBA(グレート・ベイ・アリア)の中で、規模感的に深セン・上海に大きく見劣りする香港が、そのアイデンティティを主張するためにした。即ち、香港人が、北京に相談なく、敢えてゲームを仕掛けたように見えます。

そしてその相手がLSEG。ロンドンも合意なきブレクジットで揺れています。そこに敢えて手を伸ばした。LSEGも情報会社に対する大型買収を仕掛けている中で、LSEGの既存株主に、買収するより買収された方が経済的に儲かるよ、とのメッセージを送るというアヤもあるのでしょう。香港人、中々しぶといですね。

このゲームは、買収が実現することだけが目的ではないでしょう。香港人のしたたかさを世界に発信することが、既にゲームの大事な一部なのでしょう。面白いですね。大きな興味を持って、見守りたいと思います。