欧米先進国諸国(一義的にはアメリカ)が、フェイスブックの提唱したデジタル通貨リブラ(Libra)に対して懸念を表明し、リブラと云うよりもフェイスブックに対する不信と批判で当該プロジェクトの推進を止めようとしている中で、中国がデジタル人民元の実現をほぼ公式に発表しました。去年は一日で3兆円ものオンライン上での消費があったという独身の日(11月11日)に合わせて、中央銀行である人民銀行のお墨付き、四大銀行並びにアリペイ、ウィーチャットペイなどでも使える形でローンチとのこと。情報は確実ではありませんが。

中央銀行公認で法定通貨との兌換性があり、かつ中国の銀行に口座がなくても使える独立したもの。そしてもちろんオンライン上でサクサク使える。ドル紙幣よりも、銀行を通して使えるドル通貨よりも、或いはリブラよりも、特に新興国の間で市民権を得て流通するかも知れません、このデジタル人民元は。それがまさに中国の狙いでしょう。

中国がどんなに台頭しても、通貨の覇権はアメリカに、ドルに握られています。アメリカにとってドルは、空母よりもミサイルよりも強力な、安全保障のツールでもあります。世界経済が、世界中での様々な決済がドルベースで行われていれば、そのドルとの交換を止めることで、アメリカは様々な国や組織を兵糧攻めにして弱体化することが出来るのです。この通貨の覇権が、デジタル人民元の出現によって揺るがせられるかも知れない。リブラはパンドラの箱を開け、アメリカが難色を示している間に、これ千載一遇のチャンスと見た中国はデジタル人民元によって通貨の世界覇権を取りに行く。今、お尻に火が付いたのはアメリカでしょう。或いは自由主義国家連合全体でしょう。

リブラは推進すべきです。或いは各国は、例えば日本は、デジタル円(法定通貨)を大至急実現すべきです。デジタル法定通貨、或いはそれに準ずるもの、決済に使えるデジタルステーブルコインの世界需要を、デジタル人民元だけに取られていいのですか?日本はマイナス金利なのだから、紙幣よりもプログラムされたデジタル通貨を発行する理由が、特に大きくあります。マイナス金利という金融政策の効果をもっと実現したいなら、マイナス金利を表現したデジタル通貨を導入すべきです。

方法論とか法律論の前に、国益を考えて、急いだアクションが必要だと感じています!