中国の石油大手3社は2010年第3四半期の業績を発表しました。景気回復によるエネルギー消費の拡大と国際原油価格の上昇を受け、良い決算を発表しています。中国石油(00857)の2010年第3四半期の純利益は前年同期比12.5%増の347億元、EPS(一株当たり利益)は0.19元で、ここ2年間で四半期業績ベースで最も良い決算となっています。1~9月の原油生産量は前年同期比1.3%増の6.4億バレルで、原油平均販売価格は同46.3%増の71.76米ドル/バレルです。原油採掘に力を入れている中国海洋石油(00883)も第3四半期の売上は前年同期比63.8%増の389.1億元となっています。生産量が予想以上に拡大しているため、同社は2010年通期の原油・ガス生産量の目標を2.75~2.9億バレルから3.19~3.29億バレルにまで上方修正しています。中国石化(00386)の第3四半期の純利益は前年同期比14.7%増の196.4億元で、成長率が加速しています。生産拡大と販売価格上昇のほか、親会社から注入された海外油田資産も業績の成長に寄与し始めています。

原油の生産・販売が拡大している一方、内需拡大に支えられ石油精製品の販売も増加しています。1~9月、中国石油のガソリン、ディーゼル、石油の販売量は同24.3%増の9092.1万トンに。中国石化の石油精製品の卸売りと小売は、それぞれ16.5%増の1.04億トンと11.2%増の6400万トンに拡大しています(中国海洋石油は川上メインのため精製品の販売はありません)。また、天然ガスの生産量拡大も業績にも寄与しています。1~9月、中国石油の天然ガス販売量は同10.5%増の16845億立方フィートで、2桁の成長を続けています。中国石化は新しいガス田が稼働したことで、天然ガス生産量は前年同期比45%も拡大しています。さらに、11月からは天然ガスの消費最盛期に入ります。中国各地政府は天然ガスの使用料金の値上げをまもなく実施する計画であり、天然ガスの消費量の拡大と価格上昇で、第4四半期には、天然ガス販売は石油会社のさらなる収益源となる見通しです。

他方、石油会社の海外資産の取得も積極化。たとえば、中国海洋石油(0883)は、10月11日、米天然ガス生産会社チェサピーク・エナジーがテキサス州南部に保有するシェール層、イーグル・フォードの3.33%の権益を約21.6億ドルで取得する合意を発表しました。買収金額のうち、10.8億米ドルを株式の取得に用い、残りの10.8億米ドルを掘削やその他の関連費用として支払います。この買収プロジェクトの面積は60万エーカーで、現在は10台のリグが稼動しています。1日当たりの生産量は原油1160バレルで、天然ガス0.4百万立方フィートです。中国海洋石油の出資取得後、リグの数を2年間で40台にまで増加させます。海外資源の買収は中国の国益にも叶うことであり、今後も中国政府の後押しもあって、ますます加速するものと思われます。

このように、中国の石油会社の業績は好調を維持しています。大手3社は以外にも中国の石油関連銘柄には、南海石油(00076)、中国油気(00702)、光匯石油(00933)、中海油田服務(02883)、シノペック冠徳(00934)などがあります。