【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 24815.04 ▼354.84 (5/31)
NASDAQ: 7453.15 ▼114.57 (5/31)
1.概況
先週末の米国市場はトランプ米政権が6月10日からメキシコからの全輸入品に5%の追加関税を課すと発表したことで貿易摩擦激化への警戒感が高まり大幅反落となりました。123ドル安でスタートしたダウ平均は330ドル近くまで下落した後一旦昼前に190ドル安程度まで持ち直す場面もありましたが、午後に再び下げ幅を広げると結局354ドル安の24,815ドルと安値圏で取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も114ポイント安の7,453ポイントとなりました。
2.経済指標等
4月の米個人消費支出(PCE)は前月比0.3%増となり市場予想を上回りました。変動の激しい食品とエネルギーを除いたPCEコアデフレータは前年同月比1.6%上昇し市場予想と一致しています。米個人所得は前月比0.5%増となっています。また、5月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)は54.2と前月から上昇し市場予想も上回りました。一方で5月の米ミシガン大学消費者態度指数確報値は100.0と速報値から下方修正され市場予想も下回りました。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうち9業種が下げ、コミュニケーション・サービスが2%余り下落したほか、エネルギーと情報技術も1%台後半の下げとなりました。一方で不動産と公益事業が上げています。
4.個別銘柄動向
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)が4%を超える下げとなりダウ平均構成銘柄で下落率トップとなりました。また、ダウ平均構成銘柄ではダウ(DOW)も3%以上下げたほか、シスコシステムズ(CSCO)とゴールドマン・サックス(GS)、ナイキ(NKE)、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(WBA)、ボーイング(BA)、プロクター・アンド・ギャンブル(PG)も2%以上下げています。
ダウ平均構成銘柄以外では、自動車をメキシコで生産し米国に輸出しているゼネラル・モーターズ(GM)やフォード・モーター(F)が売られ、ゼネラル・モーターズが4%以上、フォード・モーターが2%以上下げています。メキシコビールのコロナを販売するコンステレーション・ブランズ(STZ)も6%近い下げとなり、メキシコと米国を結ぶ鉄道を運営するカンザスシティー・サザン(KSU)も4%以上下落しています。さらにパソコン大手のデル・テクノロジーズ(DELL)が決算で売上高が市場予想を下回ったことで急落し10%余り下げました。
一方で配車サービス最大手のウーバーテクノロジーズ(UBER)が堅調で1%以上上げています。決算で赤字幅が市場予想を上回りましたが、売上高の伸びが市場予想を上回ったことなどが好感されました。
5.為替・金利等
長期金利は0.09%低い2.12%となりました。ドル円はさらに円高が進み108円台前半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は一段の円高を受けて下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が節目の20,500円を維持できるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)