市場を取り巻くセンチメントは暗いが、例によってメディアの過剰報道に誘導されている感が強い。例えば先週土曜日の日経新聞は「上場企業2期連続減益へ」と報じたが、金融を含む全産業では微増益である。日経平均やTOPIXの今期予想PERは前期実績より低い。つまり指数ベースでは今期増益予想になっているということだ。武田のシャイアー買収による赤字や東芝メモリー売却益とソニーの最高益の反動など個別の特殊要因が全体にも大きく影響している面もある。今期の業績については、ざっくり微増益というのが期初の今時点のコンセンサスだろう。
20日に1~3月期のGDP(国内総生産)1次速報が発表される。コンセンサスは前期比年率0・2%減とマイナス成長が予想されている。その通りの結果となっても過去のことであり、市場で悪材料視はされないだろう。それより24日の政府の月例経済報告が景気判断を変えるかどうか注目される。
海外の注目はFOMC議事要旨。市場が利下げを織り込みにいっているだけに、FRB内で利下げの議論が醸成されていないことが議事要旨で分かった場合、米国市場は落胆=下落で反応するだろう。また20日にパウエルFRB議長がアトランタ連銀の会合で講演し、22日にはニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の講演も予定されている。今週はFRBの利下げ観測を巡る楽観や失望でNY株の値動きが荒くなることに警戒が必要だ。
予想レンジは2万0800円~2万1700円とする。
- 広木 隆
- マネックス証券 チーフ・ストラテジスト
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上智大学外国語学部卒。神戸大学大学院・経済学研究科博士後期課程修了。博士(経済学)。帝京平成大学・人文社会学部経営学科教授。社会構想大学院大学・客員教授。国内銀行系投資顧問、外資系運用会社、ヘッジファンドなど様々な運用機関でファンドマネージャー等を歴任。2010年より現職。
テレビ東京「モーニングサテライト」、BSテレビ東京「NIKKEI NEWS NEXT」等のレギュラーコメンテーターを務めるなどメディアへの出演も多数。
著書:
『ストラテジストにさよならを 21世紀の株式投資論』(ゲーテビジネス新書)
『9割の負け組から脱出する投資の思考法』(ダイヤモンド社)
『勝てるROE投資術』(日本経済新聞出版社)
『ROEを超える企業価値創造』(日本経済新聞出版社)(共著)
『2021年相場の論点』(日本経済新聞出版社)
『利回り5%配当生活』(かんき出版)
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