10連休明けの東京株式市場は下落して始まりそうだ。トランプ米大統領が5日、対中関税を引き上げるとツイッターで表明したことで、6日の午後現在、中国株や米国株先物は大幅安となり、外国為替市場では1ドル110円台まで円高が進んでいる。休み明けの東京市場の反応は、今夜のNY市場の動向次第ではあるが、市場が想定していないネガティブ・サプライズだけに衝撃は大きい。
連休前、東京市場が10日間も取引を中止することに対する懸念はあった。ただ、それは海外の重要な経済指標の発表が相次ぐことやFOMC後の市場の反応などに対してであり、今回のトランプ発言はまったくの想定外だ。米中交渉については、むしろ最終段階で合意が近いと思われていただけに梯子を外された格好だ。

米国の雇用統計が良かったことや、S&P500やナスダック指数などが再び史上最高値を更新したことでトランプ大統領に余裕が生まれ、米中交渉の最終段階で中国から一段の譲歩を引き出そうとのブラフの可能性もある。いずれにせよ今後の成り行きを見定めるしかない。その意味で8日からワシントンで開催される米中の閣僚級貿易協議は最大の注目である。劉鶴副首相は米国との協議のため、約100人の代表団を率いて8日にワシントンに到着する予定となっていたが、一部の報道では中国側は交渉延期も検討しているという。まずは協議が予定通り行われるか見守りたい。

ファンダメンタルズは引き続き良好である。米国の失業率はおよそ50年ぶりの低水準となった一方、平均時給の伸びは加速が見られない。シカゴ連銀のエバンズ総裁やセントルイス連銀のブラード総裁らはハト派的発言をしており適温相場が続く素地がある。

中国も国家統計局発表の4月製造業購買担当者景気指数(PMI)は2カ月ぶりに悪化したものの、財新/マークイットが発表した4月の中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI)は前月から小幅上昇し、18年1月以来15カ月ぶりの高水準となった。

国内では決算発表後半戦がヤマ場を迎える。8日にトヨタ自動車、9日にはソフトバンクグループ、パナソニックなどが決算発表を予定する。

今週の予想レンジは2万1900~2万2500円とする。