みなさん、こんにちは。『今どき、株で儲けるヤツは、「業種別投資法」を使っている』著者の長谷部翔太郎です。
新年度に入り、街角にはまだあどけなさの残る新入社員があふれるようになりました。風物詩とも言えるこの光景ですが、大きく時代が変化する中、きっとこの中からも未来の日本を引っ張っていく人材が出てくることかと思われます。
株式市場も春の到来に合わせるように、再び底堅い展開となってきました。先月には米国の長短金利逆転を嫌気した売りがかさみましたが、その後は予想していた以上に落ち着いた展開となっています。しかし、国内景気動向や消費増税に加え、英国のEU離脱は未だに帰趨が見えません。そして朝鮮半島情勢も不透明なまま、米中貿易摩擦も探りあいが続くなど不安要因には未だ事欠かない状況です。
現在は、それら不安要因に決定打がないまま、絶妙のバランスが保たれている印象です。当面はこのまま一進一退の推移となっていくのではないかと予想しています。
新元号「令和」が発表された時の「わくわく感」
さて今回は、テーマとして「令和」を採り上げましょう。新元号「令和」が発表されて、ちょうど1週間が経ちました。まだぎこちない感じですが、5月に新天皇が即位され、正式に新元号が日常で使われるようになると、徐々に違和感も薄れ生活に密着したものになっていくことでしょう。
実際、昭和から平成にシフトした時も、最初はしっくりこないと思ったものの、時間が経つにつれてなじんできたものです。平成から令和へ、名実ともに時代が変わっていきつつあることを改めて痛感しています。
ただ、筆者は1週間前の新元号に対する周りの対応を見ていて感じたものがありました。それはとてつもない「わくわく感」でした。筆者自身を含め、発表の1時間くらい前からそわそわし始め、令和と発表されてからもひとしきりその話題で盛り上がったのでした。
こう言ったわくわく感は、W杯サッカーの試合や贔屓球団の試合などでも確かに感じられるものです。しかし、老若男女が一様に関心を持ち、おそらく誰もがニュースに耳をそばだてたという状況と比較すると、今回の関心は並大抵の事ではなかったということだったのでしょう。
昭和から平成への元号シフト時は、昭和天皇の崩御と同時期であったために、こういったわくわく感はさして生じませんでした。しかし、今回は陛下がご健康な中での退位となることから、我々一般国民も改元というイベントを率直に楽しめたのかもしれません。
そう思うと、天変地異などがあれば改元をしたという歴史で学んだプロセスは、かつては非科学的で迷信じみたものに思っていましたが、確かに人心を一新させるという意味では案外理に適っていたのではと感じています。
時代の転換点に立ち合う「コト消費」が生まれるか
筆者はこういった改元も実体経済にも特に影響を与えることのない中立要因であると考えていました。もちろん、印刷などでの改元特需はあるとしても、それは極めて短期で終わる程度のものだろうと判断していたのです。
しかし、新元号発表後も続く高揚感を見ていると、これは経済活動に何らかの影響が出てくるのではないか、と考え始めました。
実際、「平成最後の」「令和元年の」という形容は今年いっぱい継続するでしょう。それに合わせて記念になるものを購入しよう、何かを始めよう、何かに挑戦してみよう、と考える人たちも少なからずいるのでは、と想像します。
これはあれよあれよという間に改元となってしまった、平成に改元した時と明らかに異なります。当時の記憶を持つ方の中には、前回にできなかったこと、やり損ねたことを、今回こそは時代の転換点を何か「自分なりの形」にしておきたいと考える人がいても不思議はありません。これらは一種の「コト消費」と言えるのかもしれませんが、であるがゆえに、財布の紐も思ったよりも緩くなる可能性は十分あるのではないでしょうか。
コト消費が向かう先は様々でしょう。旅行やスポーツ、あるいはちょっとした小物などになるかもしれません。株式投資的な視点ではまだちょっと対象を絞りきれないというのが実情です。
しかし、消費が思ったよりも弱く、国内景気動向に黄色信号が点滅し始めた現状においては、こういった高揚感の継続がその流れを変えるかもしれないことは頭に入れておきたいところです。消費とはあくまでも気分に依る部分が非常に大きいものであり、さらに言えば、景気も人の気分に大きく左右されるものだからです。
筆者はこの1週間の報道や周囲の言動を見ていて、新しい時代の到来に対する期待感、高揚感は決して過小評価すべきではないと考え始めました。果たして、そこまで高揚感が継続するのか、高揚感が景気を変えるのかはまだよくわかりません。
しかし、変化というものは気のせいかと思うほど些細なところから始まるのも確かです。この肌感覚が現実のものになってくれれば、かなり株式市場的にも面白い展開になってくるものと想像します。