中国株が底堅く動くのは政策期待が強いから

中国株は3月下旬も底堅い株価推移が続いています。上海総合指数の推移をみると、3月25日(月)~26日(火)にかけては比較的大きな株価下落が起こりました。この背景には、中国の材料というよりは世界的な株式市場の動向の影響を受けたといえるでしょう。

3月22日(金)に欧米で軟調な経済指標が発表され、米国で逆イールドが発生しました。さらにハードブレグジットへの懸念も深まる中、米国株は大きく下がりました。この影響を受けて中国株も下落したわけですが、それでも中国株は政策期待と米中通商協議の進展期待が強く、下げ幅は日本株と比較すると限定的でした。

そして、米国株が反転してくると、3月29日(金)の上海総合指数は急反発となり前日比+3.2%の大幅上昇となっています。この日に株価が上昇した理由の中には、クドロー米国家経済会議委員長が、米中通商協議が合意すれば発動した追加関税の一部を撤回する用意があるなどと発言した材料もあります。しかし、ここまで中国株が底堅く動いている理由はやはり政策期待が強いことがあると思います。

先週も書きましたが、中国は減税と手数料削減について、2018年末に決めた1兆3000億元の上に、2兆元規模の大盤振る舞いともいえる追加の減税策を発表しています。おそらくこの効果は第2四半期以降に強く出てくるものと思われるところです。

回復基調の経済指標と、2018年企業決算

3月31日(日)に発表された3月の中国国家製造業景況感指数は、50.5と2月の49.2から予想外の大幅上昇となっています(市場平均予想は49.6)。

特に、先行指標となる新規受注と新規輸出受注指数がともに半年ぶりの高水準を付けている点に注目できます。また、中国国家非製造業景況感指数も54.8と、2月実績の54.3や市場平均予想の54.4を上回るものとなっています。これは徐々に前述の減税などの政策効果と米中通商協議解決への期待感が経済指標に表れてきているものと思います。

李克強首相はアジアフォーラムにおいて「1~3月の中国経済動向はわれわれの措置が効果を発揮しつつあり、予想を上回るだろう。3月の経済指標は明確な改善の兆しを示すことになるだろう」といった趣旨の発言を行っており、4月以降は更なる景気回復への期待が持てるところです。

一方、2018年の企業決算が発表されていますが、主要企業の決算は悪くない状況となっています。たとえば、香港市場では時価総額最大のテンセント(00700)の2018年の通期業績については、第4四半期の売上高は市場予想を少し上回りました。純利益はGAAP基準による数字こそ市場予想を下回ったものの、非GAAP基準の純利益は市場予想を超えています。別に良かった内容でないものの、まずまずの結果でした。

また、時価総額第4位で、保険会社の中では時価総額最大の平安保険(02318)の業績を見ると、経常収益こそ市場平均予想を下回りましたが、純利益はGAAP基準、非GAAP基準ともに予想を上回っています。

もちろん中には予想を下回る決算を発表した企業もありますが、全体的な2018年決算の感じは悪いものではなく、これも今後の株価に好影響を与えてくるのではないかと予想しています。