アップデート 日経平均は3万円へ。
リスク後退で市場センチメントは回復へ

3万円到達予想時期とコメント

2018年9月末、日経平均は2万4千円を突破し、1991年11月以来の高値を付けた。背景には、世界の株価の重石となっていた2つのリスク要因が後退しつつあることがある。最大のリスクとなっていた米中の貿易問題は、長期戦が予想されるものの、ひとまず、米国の中間選挙後は落としどころを探る動きもみられそうだ。もう一つの新興国通貨リスクも、トルコ、アルゼンチンなど一部地域の問題と整理されつつあり、世界的な危機に繋がるリスクは大きくないという見方が強くなってきた。

日本経済は引き続き堅調である。今期、実質GDPは1.5%の成長(内閣府)、企業業績は5%前後の増益が見込まれている。更に、今年度の企業の収益計画は、昨年度末の円高を反映した1ドル=105円程度と保守的に設定されていることから、上期決算発表時点で上方修正される可能性が高い。

また、市場センチメントも、安倍首相が自民党総裁3選を果たしたことや、日経平均株価の好調から、久々に大きく回復している。昨年同様、第3四半期の株価には強いモメンタムが期待できる。

当面のリスクとしては、冒頭に述べた2点に加え、ハードBREXIT懸念やイタリアの財政問題などがくすぶる。しかし、過去を振り返っても、1年以上株価を押し下げるような金融危機は、全て米国発になっている(因みに、98年のアジア通貨危機による世界の株価下落は3か月間のみ)。中国の不良債権問題や日本の金融不安も、米国に波及しなかったことから、国際的な危機には発展しなかった。

その点、米国の景気は引き続き強く、8/27に発表された4~6月期の実質GDPは、一時要因もあるものの、前期比4.1%増と、4年ぶりの高成長となった。来年度も、保守的なIMFの見通しでさえ2.7%と、堅調な成長が見込まれている。

一方、このまま順調な経済環境が続けば、日本では、来年10月の消費増税が予定通り実施されるとみられ、経済対策を打ったとしても、一時的な景気減速は避けられないだろう。また、最近のような自然災害が今後も続く場合、財政負担が増加する可能性が高く、長期的な経済成長の重石となるだろう。

これらの点から、2019年度末としている3万円の達成時期を維持する。