週明けの東京市場は、米国株の急落とそれに伴うリスク回避の円高を嫌気して売り先行で始まることは避けられないだろう。しかし、今週は年度替わりの週であり、権利付き最終売買日には権利・配当取りの動きや、インデックス運用をしている機関投資家からの配当落ち分の目減りをカバーするための先物買い ― 日経平均先物・TOPIX先物合わせて7000億円規模との観測もある ― などの買い需要が期待できる。どこまで下げ渋るかに注目したい。

日本株市場は、米国株次第というところが多分にあるが、その米国株の先週金曜日の反応は過剰だと言える。長短金利の約11年半ぶりの逆転が景気後退懸念につながったと言われる。これまで何度も述べてきたが、長短金利の逆転は景気拡大の終盤によく観られる現象で、それ自体が景気を後退させるものではない。理屈では中央銀行の利上げが景気を冷やす。政策金利に連動する短期金利は上がるが、景気の先行きが怪しくなると長期金利は上がらない。

これが長短金利の逆転のメカニズムだが、根本にあるのは中央銀行の利上げである。ところがFEDは利上げを停止した。そうであれば、景気悪化にはつながらない。長短金利の逆転というが3ヶ月物国債と10年債の話であり、短いところの金利はFFレートがここまで上がっているのでそれに紐付けられているために高止まりしているだけである。一般的な2年10年では(わずかながら)まだスプレッドが残っている。

金利低下は株式のバリュエーションにとっては好材料。米国株は早晩落ち着きを取り戻すだろう。多くの機関投資家がベンチマークにするS&P500は25日移動平均と2800ポイントの大台でぎりぎり踏みとどまった格好だ。ここで切り返せるか非常に重要なところである。

注目材料は引き続き米中通商協議。今週は閣僚級の協議が28、29日に北京で開催される。また月末とあって景気指標の発表も多いが、中でも注目は29日の鉱工業生産。景気動向指数の大きな構成項目だけに生産が持ち直せば足元急速に悪化している景況感も底入れ期待が出る。そして生産と関連が高い輸出は、2月に持ち直している。よって鉱工業生産も持ち直す公算が高い。

今週は週初に大きく下落し、その後も年度替わりの特殊要因等に絡む売買で波乱含みの展開が予想される。しかし米国株の反発を基本シナリオにして、鉱工業生産の回復という好材料期待で週末にかけて戻すだろうと考えている。

予想レンジは2万0900円~2万1700円とする。